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第2話
「うーん。もうちょっと、くっついて!腰を引き寄せる感じで!修希君、何遠慮してんの!全力でやるの!!」
「…ごめんな、修希。変な事に巻き込んで」
「…っ。いいよ、ユノちゃんは相変わらず面白い子だね」
妹に指示されながら、色んなポーズを撮らされる合間に、申し訳なくなって、耳元で謝る。
「いいよ!その表情!そのまま抱きしめちゃおうか!!」
カメラマン気取りの妹にうんざりしながらも、満足してもらってはやく終わった方が早いだろうと、俺はぎゅっと、修希を抱きしめた。
修希がたじろぐように、少し動く。
「まじ悪い、今度なんか奢るな」
男と抱きしめあうのを、写真に撮られてさぞかし嫌だろう。ほんとに申し訳ない。
「いいよ、別に。このくらい…。尚のが嫌なんじゃない?」
「そりゃ、やるなら女の子のがいいけど…。
あれ?でも修希だからか、思ったより嫌じゃねーな」
「…そう、なんだ。ならよかった」
「お前こそ嫌だろ?」
「嫌なわけ、ないよ」
「相変わらず優しいことで」
2人で軽口を叩いていると、修希のカラダが熱くなっている事に気づいた。
それを指摘しようと、抱き締めあっていたカラダを離して顔を覗き込もうとする。
「修希?」
「!!」
修希の顔は真っ赤だった。
いつもの余裕たっぷりの柔らかな表情が消えて、なにかを堪えるみたいな顔をしてる。
「修希、大丈」
心配になったら俺が、大丈夫か?とか聞こうとした瞬間、ドンッと修希の腕が俺を押して、
言葉をいい終える前に、俺は押し倒されていた。
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