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クリスマスが終わり、正月が終わり、年が明けて春になって、無事に進級した。 変わらない生活を送ってる。 遙とはやっぱりバイト終わりにご飯たべることが多い。あ、でもシノと遙は結局付き合うことにしたらしいから、シノもよく一緒にいる。 っていうか僕は別に混ぜてもらわなくていいよ、って言ってるけど、いいから!って言ってくれるから、甘えてる。 僕から見たら、ふたりは前と雰囲気は変わらない。前から仲良かったし。別に人前でべたべたする感じでもない。でも、端々でふたりの仲の良さを感じる。素直に羨ましいな、と思う。 ショーに出て以降、本当に僕史上で1番のモテ期が来たみたいで、女の子に声を掛けられることがちょこちょこある。カフェテリアでちょっと話しながらコーヒー飲んだり、予定が合えば少し遊びに行ったり。 好きなの?って聞かれたら、好きだよって言うけど、求められてる好きと僕の思う好きは全然違う。だから結局、付き合ってるのか?っていうとそうじゃない。 「とおるちゃんがなにしようが全然いいんだけど、なんとなく、さみしいよ」 夏休み。 遙をモデルに描いてる時に、不意に言われた。 9月の終わりに、大学の小さいギャラリーで展示することにした。遙とシノと僕の3人展。それに向けての絵だ。100号キャンバス。 「ちゃんと好きになって、付き合おうやーってならないの?」 「んー……ちゃんと好きになる、っていうのがなかなか…」 「はあ」 「好きだけど、別に独占したい!とかもないしなあ。嫉妬されるのも、ほら、ねえ?」 「それだったら普通に友達でいるんがいいかあ」 「遙はさ、シノが他の誰かと仲良すぎたら嫌とかあんの?」 「…ないと言ったら嘘になるよな、そりゃ…あいつ自覚ないだけでクソほど人寄せるからな…ベタベタ触ってくる女がそばに来た時、はっ倒したろかと思って見てるよ、いつも」 簡単に想像ができて笑えた。 「でも、俺のこと好きって思ってくれてるんだーって分かるから、あんまり気にしないようにしてる」 「のろけた」 「だってそうだし」 だいぶ伸びた前髪をかきあげて、ふん、って鼻を鳴らす。でも嬉しそうに顔はゆるんでて、ほんと良かったなあって思う。 遙がかわいいから描きたい、っていうのもあるけど、こういう漏れ出してしまう感情、みたいなのを僕も表現してみたいって思うから、こうやって遙を見つめながら筆を動かしてるのかも 「そうそう、週末に髪切ろうと思ってる」 「おお!そうなんだ」 「うん。まこ………」 「まこ…?」 「シノがさあ、一緒に切りに行く?って言うから」 「まこ?」 「うるさいなあ、ちょっと噛んだだけじゃん!」 髪の隙間から、赤くなった耳が見えた。

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