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第92話
「ざくろ、夏休みの予定どうなってるんだ?盆は帰んのか?」
「あきらと遊ぶぐらいで何も予定ないですよ。お盆はあきらの側にいてやりたいんで帰省します」
あきら、あきらと連呼するざくろに九流の笑顔が固まった。
あの家具が届いた告白から一週間が経つ。
告白後、ざくろの雰囲気的にもやっとオッケーが出ると思ったが実は返事はノーだった。
驚くほど頑なに自分を拒否するざくろに理由が何かあるのではと九流は一度引くことにした。
ざくろが言うように付き合っても付き合わなくても二人の関係は別に悪くない。
と、言うより付き合っているような内容だし九流の中では満足に近いものがあった。
用がなくてもお互いの部屋を当たり前のように訪ねて、約束をしていなくても当たり前のように一緒に食事をする。
他愛ない話もして甘いキスもエッチもしていた。
別に拘る必要なんてないのかもしれない。
今日もまた、昨日のように自分の隣でお茶を飲み、テレビを見るざくろの姿に九流の心境も変わっていった。
夜も更けていき、ざくろはソファから立ち上がると時計を見て部屋へ帰るというのを九流が腕を掴んで止めた。
「泊まってけば?」
「・・・迷惑じゃないなら」
一瞬、戸惑いを見せたあと自分の隣に再び座るざくろを優しく抱き寄せる。
「先輩は夏休みは何してるんですか?」
「お前とデート三昧希望。って言いたいけど、生徒会の仕事がある」
心底嫌そうに溜息を吐く九流にざくろは苦笑した。
「お盆は帰省しますか?」
「一応な・・・。家へ来るか?」
「え!?」
「俺の実家。泊りに来いよ。兄貴と弟がいるだろうから紹介しとく。あきらちゃんも一緒でいいし」
びっくりするようなサプライズにざくろは嬉しい事この上なかったが素直に頷く事ができなかった。
九流のプライベートゾーンへ進出するのは怖かったし、何より畏れ多い。
更に兄弟まで紹介するだなんてどう接していいのか分からなくなる。
「それは迷惑なんでやめておきます」
「迷惑なら誘ったりしねーよ。変な気、遣うな」
「・・・でも」
口ごもるざくろに頭をぽんぽん叩いてやる。
「俺がお前に会いたいんだ。分かるだろ?俺の我儘きいてくれるか?」
顔を覗き込む様に言われてざくろは頬を赤く染めた。
絶対無理と思っていたのに九流の我儘なのだと聞かされると断る気力が一気に奪われる。
「・・・分かりました」
小さく頷くと九流は嬉しそうにざくろの肩を引き寄せて唇へキスをし、薄く開いた口の中へ舌を進入させた。
「・・・んぅ、はぁ・・・んっ・・」
舌を絡め取られ上顎を擽る様に舐められてざくろの睫毛がピクンと跳ねた。
そのやらしい合図に九流の中の欲情に火がつき、そのまま一気に流れる様な手つきでざくろから衣服を剥ぎ取っていった。
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