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エピローグ
僕なんかでは務まらないと何度も押し問答を繰り返したが、唯一の龍神の杜人こそが相応しいと押し切られて、この大役を受けることになった。
跪いたシャルールの頭にゆっくりと王冠を掲げた。
ステンドグラスからの明かりを反射してそれは神々しく光り輝いた。
頭をあげて立ち上がったシャルールが王冠を受取ると、王の間はさらに歓喜に沸いた。
奴隷は解放され、火の杜人と森の杜人の協力によって、身体に焼印された奴隷印を消してくれた。僕はスオーロから共に逃げた仲間の一部と再会することができた。
戦いに敗れたもの、くしくも命を落としたものを労い、盛大な合同慰霊祭が行われ、ブルーメンブラッドの水の宮殿の跡地には慰霊碑が建てられることになった。
少しずつ国が創建されていく。
多忙ではあるが、国中が歓喜に溢れていた
人びとは称え合った。
争いが終わったことを。
人びとは喜んだ。
自由であることを。
人びとは知った。
願いが叶うことを。
愛を受け入れることを。
そして人びとは、『新国』を作った。
人びとは歩み出した。
愛するものと共に生きられる、世界を。
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