166 / 167
エピローグ
盛大なファンファーレと共に王の間に招かれた絢爛豪華な衣装を身に着けた来賓たちは膝を付き、頭を垂れた。
アウルム国の皇太子オーロは焦げ茶色の自国の衣装を身に着けて中央の赤い絨毯を恭しく進み、王座の下に整列した。その後ろを、森の杜人のフェルメが薄水色の透ける布を幾重にも重ねた衣装で続き、隣に並び、白金の杜人が並んだ。
僕は緊張に顔をこわばらせて、手に持たされたものを落とさないように慎重にその横へと並んだ。
列の最後尾に並んだのは、赤い衣装に身を包んだシャルールだ。
戴冠式と同様に赤い付け髪をして、赤いマントを身に着けている。
中央の王座まで来るとシャルールは振り返った。
「アウルム国、スオーロ国、ブルーメンブラッド国、エクスプリジオン。この4国を統一し、新国の誕生をここに宣言する」
シャルールは剣を抜くと高く振り上げる。
横に並んだ杜人は深く、深く頭を垂れた。
シャルールは盛大な炎を作り出すと花火のようにそれを弾けさせて、王の間のシャンデリアや松明に火を灯した。王座の後ろのカーテンが開かれ、豪華なステンドグラスを通した外の明かりが、彩りを放った。
その美しさに感嘆のため息が溢れるとともに、盛大な拍手が巻き起こり、喜びを称え合った。
それは王の間だけではなく、城の外からも聞こえた。
あの戦からすでに三月も時は流れた。
過ぎてしまえば数日の出来事で、数年にも渡る諍いに数日で終止符が打たれたのだ。
有能な新国王は年若くもその戦の才をまざまざと見せつけ、無二の王として新国の王に推挙された。
僕は持たされた物をじっと見つめる。大きなお盆に載せられたそれは、アウルムとスオーロ、ブルーメンブラッド、エクスプリジオンの王冠から新たに作り出された王冠だ。
王冠は錬金に長けたアウルムの皇太子、オーロが自ら手がけたもので、自ら輝いているようにも見える金の土台に細かな装飾と石が埋め込まれている。
お盆を手に持ってゆっくりと階段を上がった。
緊張に震える手で、王座の前に立つシャルールと向かい合う。従者がその盆を受け取ると、僕は王冠を手に取った。
「シャルール・ディン・エクスを新国王に推挙、ここにその即位を認める」
何度も復唱して覚えた台詞だ。
ともだちにシェアしよう!