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結局二人してどうすることも出来ずに、連絡先を交換して別れた。
蒼は下手したらスマホ持ってなさそうだから連絡先交換できるのかと心配したものの、高校で特待生だということで入学時に支給されたらしい。
特待生だろうとスマホなんて支給されるのかと疑問をもったが、そういう学校なんだろう。
うっかり家に上げる羽目にならなくて良かった。万が一、光輝兄さんが帰ってきてしまったら、蒼は昔自分に性的虐待をした相手と鉢合わせになってしまう。光輝兄さんの顔を覚えてないかもしれない。兄さんが夕方に帰ってくる事はないかもしれない。可能性は低いけれど、二人が合わないってのが最善の選択だ。
こんな日に限って、兄さんは定時であがって帰ってきたんだから。
それにしても、蒼があんなに強く嫌がるほどに公園が嫌いだとは…。昔一緒の時は近所の公園に二人で行って遊んでた記憶がある。母さんを待ってる間公園へ。
夜母さんがいない時は、温かい時期こっそり夜の公園に行ったこともあった。子供からしたら大冒険だ。いつも遊んでる遊具が違った物に見えて、蒼が「怖いよ翠……」って泣きそうになって帰ったんだ。
次の日の昼間はまた普通に、怖いって言った遊具で遊んでた。
あれは公園が嫌いになるような思い出ではないよな?次の日は普通に遊んでたんだから。
何故嫌いなのか訊いても良いのか、まだ距離感が掴めない今は判断が難しい。
それよりも、蒼があんなに細くて華奢な体型だったのは大問題だ。
蒼がいた施設で何かあったに違いない。
ピロン。蒼の事を考えていたら、ちょうどその本人からメッセージがきた。
『翠へ。今日はありがとう。会えて元気そうなの分かって良かった。メッセージなんて送るの初めてだから、これであってるのか?』
可愛い翠。スマホ支給されてもメッセージ送るような相手がいないんだか、使ってなかったんだね。
『絵文字とか使うものなのか分かんねー』
早速返信する。
『使い方あってるよ。絵文字とか使いたかったら使ってもいいし、文字だけでもいいし。こちらこそ、家まで見つけて来てくれてありがとうね。本当に本当に本当に、嬉しかった』
『良かった。家まで行ったら気持ち悪がわれるかと思った』
『そんなこと思うわけないじゃない。蒼と俺はこの世でお互いしか対がいない双子なんだから。そういや蒼がいた施設って何ていう名前』
『愛育園』
『そんな名前だったか。小さい頃だから覚えてなくてさ。ありがとう。また連絡する。お休み』
『ん。お休み』
愛育園、か。幸い今は夏休み。少し調べてみるか。
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