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第1話

※この話は、Ⅰ巻終了後の後日談となっています。 ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。 ***  夕侑の卒業にあわせて、別荘に会いにきた獅旺はそのまま一週間滞在した。  そして再会の約束をしてから、いったん都内の自分の家に戻ることになった。 「新居を探して、また報告を入れるから、ここを出る準備をしておいてくれ」 「わかりました」  別れの日、獅旺の車の横で一緒に話す。 「どんな家に住みたい?」  きかれて、夕侑は首を傾げた。 「……よくわからないです。普通の家は住んだことがないので」  生まれたときから施設暮らし、その後は寮生活しか経験していない。どんな家と言われてもピンとこない。 「マンションか一戸建て。都内と郊外。海の近くがいいとか、住んでみたい街とか、リクエストはないか」 「お任せします。獅旺さんがいいと思うところで」  その答えに、獅旺が苦笑する。 「わかった。取りあえずの住み()だからな。まあ、将来的にはまた気に入ったところを探せばいいし。じゃあ、俺が適当に決めておくよ」 「はい。お願いします」  ふたりで住めるのなら、どこだって構わない。笑顔でうなずく夕侑に、獅旺も嬉しそうにした。 「あと、出発する前にこれを」  と言いながら、獅旺がポケットからスマホを取り出す。何をするのかと思ったら、夕侑にカメラのレンズを向けた。 「当分会えなくなるから。写真を一枚、持っていきたい」 「えっ」 「桜もほころび始めているし。記念になるだろ」  夕侑は思いがけない提案に姿勢を正した。 「わかりました」  車の横でシャンと背筋を伸ばすと、獅旺が微笑む。 「普通でいいぞ」  何枚かシャッターを切って、うん、と満足げにする。 「これから毎日、夕侑もここでの生活を自撮りして送ってくれないか。お前が何をしてるのか知りたいんだ。何が好きかとか、何に喜んだとか。そういうのを見てみたい」 「自撮りですか?」 「そう」  ごく自然に頼まれて、夕侑はちょっと考えた。

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