6 / 126

はじまる恋

「お前、男女問わずにモテたいんだろ?」  葛城はそう話すと彼の顔をジッと見た。阿川はそう言われると逆に聞き返した。 「あっ、もしかしてヤキモチですか?」 「なっ……!?」 「可愛いなぁ、葛城さん。そんなことでヤキモチ妬いちゃうなんて…――。ますます、ほっとけられないなぁ。ここが会社じゃなかったら今頃、2人で愛を確かめているのに……」  阿川はそう言い返すと然り気無く彼の手の甲を指先でなぞった。その感触に葛城は一瞬、ビクッと体が反応した。不意に見せる彼の怪しい眼差しに体が急に熱くなると無言で手を払った。 「ふん…! だっ、誰がお前にヤキモチなんか妬くかよ…! とんだおもい違いだな……!」  彼が素っ気なくそう言い返すと、阿川は余裕の表情でニコニコ笑っていた。その余裕の感じに、葛城は目くじらを立てた。 「大丈夫、安心して下さい。俺は浮気するような男じゃありません。強いて言えば好き人には一途なタイプですから――」 「なっ……!?」     その言葉に葛城は胸がドキッとなると、顔が赤くなった。

ともだちにシェアしよう!