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はじまる恋
「どうだ、旨いか?」
彼にオムライスをひと口食べさせると尋ねた。
「はい、とっても美味しいです……!」
阿川は何も疑うこともなくオムライスを食べると嬉しそうな表情でそう言って答えた。
「そうか…――」
葛城はオムライスを食べさせながら、ふと笑った笑みを浮かべた。
「こっ、これが伝説のラブラブ食いって奴ですね。アーンは最強ですね、何だかいつもよりも、美味しく感じます……!」
阿川はオムライスを食べさせられながら、照れながら彼にそう言った。
「そんなにアーンは旨いか?そうかそうか。じゃあ、もうひと口どうだ?」
「えっ……!?」
「何だ照れてるのか? 可愛いな、いいから口を開けろ。アーンしてやるよ」
そう言ってスプーンにオムライスの欠片を乗せると、彼の口元に運んだ。阿川は幸せそうな顔で口を大きく開けてアーンをした。
『うぐっ!!』
その瞬間、苦しそうな声をだした。葛城は業とスプーンを喉の奥まで突っ込むと、そこでささやかな反撃に出たのだった。喉の奥までスプーンを突っ込まれると、阿川は苦しそうな声をだしながら噎せた。それを見ながら葛城はニヤリと笑うと席を立った。
「ハハハッざまぁみろ。いつかのお返しだ。本当いい気味だ。暫くそこで噎せてろ」
そう言って鬼畜な所を彼に見せると葛城は食べ終わった様子でお盆を手に持ち、すたすたと食堂の入り口へと歩いて行った。そして阿川を一人、置き去りにしたまま仕事に戻って行った。
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