「手、退けろよ……！」 あいつから視線を反らすと、そう言って無愛想に冷たくした。だけどあいつは何だか、余裕の表情だった。 「ああ、すみません。でも葛城さんでもおっちょこちょいなところがあるんですね？」 「何……？」 「ほら、同じ用紙を何枚もコピーしてる。自分で気づきませんでしたか？」 「ッ……！？」 　阿川はそう言って俺にコピーした用紙をピラッと見せてきた。その瞬間ドキッとなって慌てた。 「うっ、うるさい…！　それはたまたまだ……！　お前に言われる筋合いなんか……――！」 　そう言ってムキになって言い返すと、あいつの持っている手から紙を奪おうとした。 「おかしいな～、冷静な葛城さんがコピーを何枚も間違えるなんて。珍しい事もあるんですね？」 「かっ、返せ……！」 阿川は俺にそう言い返すと、悪戯っぽい顔で冷やかしてきた。それにつられて俺はますますムキになると、なんとかして奪おうと詰め寄った。