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不機嫌な彼。
ヤバイな……。今出てきたら、 きっと葛城さんに何か言われそうだな。
でも、このままじゃ…――!
俺は壁越しで二人の様子を見ながら、出てくるタイミングを見計らった。このまま黙って見てるほど心と気持ちに余裕はなかった。むしろ今すぐ二人の間に割って入りたいくらいだった。
「の野郎…! いつまでも葛城さんに馴れ馴れしく触りやがって……!」
そんな時、不意に目についた。柏木さんが彼を見る目が気になった。
なんだよ、やっぱりアイツ……!
いくら飲み仲間でも、そんな目で同僚を見る奴がいるだろうか――?
そう思うと胸の中がチリチリしてきた。
つまらない嫉妬をしていると葛城さんがこっちに向かってきた。俺は彼に見つかると思い、直ぐに退散しようとした。すると突然、彼が葛城さんの腕を不意に掴んだ。その瞬間、自分の中で嫉妬はピークに達した。
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