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不機嫌な彼。

俺の中で嫉妬がピークに達した。もう2人を黙って見てられなくなると思わず行動に出た。壁から、離れると出口の前に勢い良く立った。バッと姿を現すとその時に葛城さんとぶつかった。 彼は目の前で俺にぶつかると、凄く驚いた表情でこっちを見てきた。その顔は「何でお前がここに?」と言いそうな表情だった。 しまったと思いつつも、俺はそこから逃げる事もなく。あえてそこに堂々と留まった。柏木さんは俺が姿を現すと少し驚いていた。不意に目を向けてチラッと確認すると葛城さんの腕を彼が掴んでいた。その瞬間、俺の中でチリチリとした嫉妬の炎が燃え上がった。 ――ッ!? コイツ、葛城さんに気安く触りやがって……! この野郎ッッ!!  嫉妬の炎に燃えると、鋭い目つきで柏木さんを睨み付けた。無言で睨み付けると彼は葛城さんの掴んだ腕をパッと離した。 「あ、阿川……?」 不意に名前を呼ばれると我に返った。葛城さんは呆然とした表情で俺の事を見てきた。だが、怒りが治まらなくなると俺は再び柏木さんを睨んだ。葛城さんはその場に居ずらくなると、足早に男子トイレから飛び出して出ていった。 彼がいなくなると、俺と柏木さんは無言で向かい合ったままそこで立ち尽くした。ピリピリとした不穏な空気が漂う中で、彼からさきに話しかけてきた。

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