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急接近。
腹を空かせて項垂れているアイツを連れて、近くの飲食店に入って行った。案の定、ご飯を食べた途端に元気になりやがった。
俺はビールを黙って飲みながら目の前のカルビを焼いた。アイツは一人でベラベラと喋って上機嫌だった。
お酒を飲んでるせいか、それとも俺と居るから普段より浮かれているのか、アイツは一人で一方的に喋ったり、浮かれ気味で笑ったりと、明るい反面まるで騒々しいくらいだった。焼き上がったカルビを食べながら黙々と酒を飲んでテーブルに頬杖をつくと、目の前にいるアイツを無言で見つめた。
「――で、俺の推測ですがあの人はきっと二股してるタイプだと思います! でなきゃ、うちの部署にいる吉田さんが彼に二股かけられてるの気づかないだけの鈍感な女ですよ。木ノ下さんは、ああ見えても女性関係派手ですからね。他にも居そうな気はしますが、あの手の男に騙される女も俺は悪いとは思います!」
「ふーん、そうなのか? あくまでも、憶測だろ。それに実際二股をかけてる所なんて誰も見てないわけだし。お前の気のせいだろ」
「あまいな~葛城さん! 木ノ下さんが吉田さん以外の女性から手作り弁当を渡されて、お昼に人気がいない所で食べてるのを、同じ部署の女性が見てるんですよ!」
「お前詳しいな……」
「当然ですよ、社内での噂は常に耳に入れとかなかいと話題に乗り遅れます。それに色々と役にたちます。なんでも情報には常に敏感じゃなきゃ、仕事もうまくいきませんよ!」
阿川は酔っているのか、ビールを一気飲みしてテーブルにジョッキをドンと置いた。俺はタバコを一服吸い終わると灰皿に吸殻を押し付けた。
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