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急接近。
「お前、声が大きいんだよ! 今夜中だぞ!? いい加減にしろこの酔っぱらい、頭を冷やせ!」
「わっ…!?」
思わずカッとなるとアイツの背中をドンと叩いた。すると阿川は、噴水の中に足を滑らして中に落ちた。そしてまんまとずぶ濡れになった。内心しまったと思いながらも、あまりのマヌケぶりにおもわず笑いが込み上げた。
「ッ、アハハハハハハハッ!! バカだなお前、自己自得だ! 頭から水を被ったから少しは酔いが覚めたんじゃないのか?」
阿川は呆然と水の中に浸かって、半笑いを浮かべていた。そして、ニコっと笑うと手を差し伸べてきた。
「――ええ、貴方のおかげで酔いが覚めたかも知れません」
「少しは懲りたか?」
「はい。ダメですね、飲みすぎは」
「そうだろ。じゃあ、さっさと噴水の中から出てくるんだな。風邪ひくぞ。」
「あの、手貸してくれませんか? 酔っ払って、足がうまく動かなくて」
「全くだらしないな。ほら、さっさと起き上がれ!」
「ええ、今すぐ……!」
『わぁっ!!』
思いっきり手を引っ張られると、そのまま体勢を崩して噴水の中に落ちた。そして、俺まで一緒にずぶ濡れになってしまった。アイツは俺の方を見てくるとケラケラとおかしそうに笑ってきた。
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