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急接近。

「…ッ、またか。ホントにお前はキスばかりだな」 「隙だらけの葛城さんがいけないんですよ。前に言ったじゃないですか、隙があればドンドン責めるって。覚悟して下さいって言った事もう忘れたんですか?」 「ッ…――。ああ、そんな事言ってたな。聞き飽きたなその台詞。耳にタコができる」 顔を反らすとアイツに水をかけて立ち上がった。そして、ずぶ濡れになった服でクシャミをすると肌寒さを感じた。 「葛城さん、俺は真剣に貴方を…――」 「早く帰るぞ。寒くてしょうがない。ほら、行くぞ」  俺はアイツに背中を向けると落ちた鞄を拾って噴水広場から離れた。アイツも慌てて、噴水から出ると後をついてきた。 「葛城さんおいて行かないで下さいよ~!」 「さっさと歩け、こっちは濡れて寒いんだよ!」 「も~また直ぐ怒る~!」   「誰の所為だ、誰の! 酔っぱらいはこれだから困る!」 「待って下さいよ~!」 ずぶ濡れになった服で二人で夜道を歩くとアイツの家に向かった。そして、俺は初めてアイツの家に訪れた。 マンションの構えから高そうな雰囲気が建物から漂っていた。俺と同じ給料の癖に生意気だった。舌打ちをすると『さっさと案内しろ!』と、軽く足蹴りをした。阿川は『ハイハイ今開けますよ』と酔っぱらった口調で返事をすると、鍵を開けて玄関のドアを開けた。 「どうぞ!」 阿川がドアの前で声をかけてくると、俺はアイツの家の中へと一本踏み入れた――。

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