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急接近。
アイツの部屋に入るなり辺りを見渡した。部屋は意外と広々としていて、独り暮らしで住むには、十分過ぎるくらいの広さだった。どうみても俺が住んでる家よりもコイツの方が断然といい部屋に住んでいるのが明らかだった。
それに部屋の中は小綺麗で汚している感じもしなかった。もう少し汚れた感じの部屋に住んでる気がしたけど、もしかしたら案外、綺麗好きなのかもと感心した。しかし、リビングの方を見るとテーブルの上だけは少し汚かった。
テーブルの上には、無造作にノートパソコンが置かれたまま、近くには書類や資料など、飲んだ缶ビールの空き缶がテーブルの上に転がっていて食べたカップ麺の容器がそのまま置かれていた。
ソファーの近くには、着ていた部屋着がそのまま落ちていた。一瞬、綺麗好きなのかもと思ったがそうでも無かった。黙って部屋の中を眺めていたら阿川がフラフラと酔っ払った足取りで俺の方に歩いてきた。
「あ~葛城さん! バスタオル使って下さい! 濡れたままだと風邪をひくので、お風呂入って温まって下さいね!」
「ああ、すまんな阿川。バスタオル借りるぞ」
「さきにお風呂に入って下さい。俺は後から入ります」
「お前がさきに入った方がいいんじゃないのか。酔っ払ったヤツに後から入られても、風呂の中で寝られたら困るしな」
「あれれ? それって俺のこと誘ってますか? なんなら一緒に入ります? その方が、一石二鳥ですし。それにお風呂もけっこう広いんですよ。二人でゆったり入れるスペースくらいあります」
そう言って阿川がニヤニヤした顔で言ってくると、急に顔が赤くなってアイツの頭を叩いた。
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