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恋の行方。

「お前、顔が火照ってるぞ。本当に大丈夫か?」 「ん…熱い……」  葛城は寝ながら声に反応すると不意に呟いた。 「全く世話がやけるな。しょうがない、脱がしてやるか」  そう言ってワイシャツのボタンに指を掛けると、自然に胸元のボタン外した。 「これで少しは楽になっただろ?」 「ん……」 「優しい親友に感謝しろよ…――」 「阿…川……」 『ッ……!?』  その瞬間、動揺すると彼の方をジッと見た。 「…だっ、誰が阿川だ…誰が……おいおい、アイツと間違えてるのか……?」 そう言って話しかけると柏木は急に黙り込んだ。そして、そのまま右の頬に触れた。 「親友を誰かに間違えるなんて酷いやつだな……」 寝顔を覗き込みながら軽くほっぺたをつねった。 「ん……」 「…つったく、本当に誰に間違えてるんだか……。親友やめてもいいんだぞ? おい、聞いてるのか――」  そこで独り言をつぶやくと眠っている彼に話しかけた。だが、返事をしない様子を見てため息をつくと不意に名前を囁いた。 「信一……」 シーツの上に手をつくと、今まで胸の中に秘めていた感情が急に溢れた。そして自分でも抑えられなくなると、そのまま屈んでそっとキスした。

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