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第24話

それから櫂斗は、木村の話を受けることにした。学校の事を色々調べているうちに校風が自分に合うと思ったし、何より亮介の家から一本の電車で行けるのが大きかった。 塾へ辞表を提出した時は驚かれ、塾長に考え直してくれと言われたけれど、挑戦したいんですと言ったら笑顔で送り出された。 「なんか堀内先生、生き生きとしだしたね」 そう塾長に言われ、とても死のうとしていた人間だとは思わないよな、と自分で思って笑った。 そして採用試験を受け、合格し、晴れて高校教師となる。 そして今日は、亮介の家へ引っ越しする日だ。と言っても、全部業者に頼んだし、少しずつ荷解きする程度で済んだので、やる事はあまり無い。 「あー……何か久しぶりだな、亮介の家」 「そうだな」 「しかし引っ越し業者も今は繁忙期だろ? どうやって契約したんだ?」 亮介に任せろと言われたので言う通りにしたけれど、正直三月は予約が取れないものだと思っていた。 「実は……木村さんと社長の全面的な協力のもと……」 「はぁ!?」 櫂斗は思わず大声を上げる。ということは、櫂斗が亮介の家に引っ越した事も話しているという事で……。 「ちょっと……亮介、オープン過ぎ……」 「いや、社長の方は完全に私情が入ってるから言うなって言われてたけどな」 聞けば、晶はあの母親から逃げられるなら何でもしてやると言っているらしく、弁護士の連れもいるから安心しろ、とまで言っていたらしい。社長もゲイだから色々あったんじゃないか、と亮介は苦笑していた。 まったく、と櫂斗は熱い顔を手で扇いでいると、コルクボードに櫂斗の写真が増えていることに気付く。しかも出会った時に、不意に取られた写真だった。 「お前こんなの飾るなよ」 恥ずかしいじゃないか、と口を尖らすと、無防備で良い顔してるだろ、と亮介は後ろから抱きついてきた。 「俺のお気に入りばかり貼ってある」 「……」 そういえば、ある人物が必ず貼ってあるんだっけ、と櫂斗は質問してみた。 「この人、真洋の写真以外は必ず写ってるよな」 櫂斗が指をさすと、亮介はああ、とだけ返事をする。それ以降話さないので櫂斗は突っ込んだ。 「何? 誰なの?」 「俺の弟」 「弟? 似てないな」 「……」 すると、亮介は吹き出した。そのリアクションで、彼が嘘をついた事が分かる。櫂斗はイラッとして、抱きついた亮介から逃れようともがいた。 「お前、ホント嫌な奴!」 「あっはっはっ、櫂斗はホント可愛いやつだな」 ぎゅうぎゅう抱きしめながら笑う亮介に、櫂斗は「本当は誰なんだよ」と聞く。亮介が誤魔化すということは、多分、本当にお気に入りなのだろうと思うとムカついた。 「ダチだよ。高校の時からの」 「……どうだか」 櫂斗は不機嫌に言うと、なに、嫉妬してんの? と耳にキスをされ息を詰める。 「ちょ、……そんなんじゃない」 「じゃ、何?」 首筋に舌を這わされ、櫂斗はゾクゾクして思わず亮介の腕を掴むと、彼は耳に息を吹き込むように言った。 「本当に櫂斗はどこもかしこも弱いな」 シャツの上から胸をまさぐられ、指が乳首に当たる度にビクビクする。 「ちょっと何? ……するのかよ?」 櫂斗は首を捻って亮介を見ると、楽しそうに笑う彼の顔があった。そんなつもりは無かったけど、櫂斗の反応見たらしたくなった、と言われ、顔が熱くなる。 「櫂斗は? したい?」 したいもなにも、亮介が身体を触って煽ってるじゃないか、と言うと、耳たぶを強く噛まれた。 「いった!」 どうやら亮介は、櫂斗が素直じゃない時に、おしおきと称して耳たぶを噛むらしい。跡が付くほどではないものの、痛いのは嫌なのでやめて欲しいと言うと、じゃあ素直になれよと言われた。 「本当はおしおきを待ってるんじゃないのか?」 「んな訳ないだろ……っ」 ほら、もうたってる、と亮介は櫂斗の股間をズボンの上から掴むように撫でた。 「あ、……んっ」 ヒクヒクと腰が震え、また更にそこが硬くなっていく。そこで亮介は、また改めて聞くのだ。 「したいのか? 櫂斗」 櫂斗はコクコクと頷いた。いつもは何も聞かず事を進めるのに、聞いてくるなんて珍しいなと思っていると、亮介の次の言葉にその意図を知る。 「じゃ、俺のをたたせろよ」 そう言って亮介は櫂斗から離れると、ソファーに座った。そちらを振り向いたまま動かない櫂斗に、早く、と強い視線を送ってくる。その視線にゾクゾクしながら動けないでいると、またおしおきされたいか? と言われ、櫂斗は首を横に振った。 そう言えば、亮介と出会ってから、彼の身体に触るのはほぼ初めてだということに気付く。そろそろと近付き、ソファーに片膝立ちすると、背もたれに腕を付いて亮介にキスをする。彼の唇を吸い、舐め、出てきた舌と自分の舌を絡めると、少しずつ、自分の身体の熱が大きくなっていくのが分かった。 「ん……櫂斗、キス上手いな。キス好きか?」 「……うん」 上がった息の中、頷きながらそう言うと、櫂斗はソファーから降りる。亮介の膝の間に座り、彼のジーパンのボタンとチャックを開けた。そして下着ごとそれを脱がすと、躊躇いもせず亮介のモノを掴んで舐め上げる。 「……いい眺めだな」 亮介は笑って櫂斗の頬を撫でた。そのままそこを舐めていると、少しずつ硬くなっていくので、感じてくれているらしい。そう思ったら、ズクン、と後ろが疼いた。 櫂斗はそれを口に含む。ある程度大きくなったそこを、吸いながら口を上下させると、亮介は小さく息を詰め、更に大きく硬くなっていった。 (ああ、亮介の……硬い……入れたい……) 櫂斗は亮介のモノが硬くなればなるほど後ろが疼き、ゾクゾクしてしまう。時折ヒクヒクと身体を震わせると、亮介は櫂斗の頭を撫でながら言った。 「何? フェラしながら感じてんの?」 櫂斗はソレを咥えたまま亮介を見る。彼は笑っていて、でも興奮しているのも分かり、顔を顰めたらビクビクと腰が震えた。 「んー……っ」 脳天を突くような快感が櫂斗を襲い、この感覚は、と櫂斗は恥ずかしくなる。どうやら、イッてしまったらしい。 「おい、お前がイクのかよ」 「あっ、だっ、だって……っ」 櫂斗は口を離すと唾液が糸を引いた。口から零れたそれを、亮介が指で拭ってくれる。 「良いよ、入れな」 櫂斗は、どうして望みが分かったのだろう、と思いながらも、欲望に抗わずズボンと下着を脱いだ。櫂斗の下半身は触れられてなくても硬くそそり立ち、亮介はその様子を見て笑う。 「なんだ櫂斗、触らなくてもイキそうだな?」 「……っ」 櫂斗はついでにシャツも脱いで全裸になると、亮介のシャツも脱がす。 「……ほら、自分で入れて動け」 そう言って亮介はソファーに寝そべり、櫂斗の手を取る。櫂斗は入れたくて入れたくて、素直に亮介の身体に跨った。 櫂斗はそっと亮介のモノを支えながら、腰を落としていく。熱く、硬いものが櫂斗の中に入っていくと思うだけで、太ももが小刻みに震え出した。同時に櫂斗の中心もヒクヒクと震え、先走りを溢れさせる。 「あっ……全部、入っ……」 言葉は身体がまたガクガクと震えて言えなかった。櫂斗は息を詰めると、またイッてしまったのだと気付く。 「入れただけでトコロテンしてるぞ? ホントお前は可愛いな」 え、と櫂斗は自分の下半身を見る。そこはまだ萎えないままヒクヒクしていたが、亮介のお腹に精液が飛んでいた。その光景を見て、櫂斗は更に興奮する。 亮介は櫂斗の両手を取り、指を絡ませて握った。 「ほら、ずっとこのままじゃ終われないぞ?」 亮介に促され、櫂斗は腰をゆっくりと動かす。しかしそれでも強い快感が櫂斗を襲い、またすぐに太ももが震え出した。 「あっ、だめっ、イッちゃうっ、またイッちゃう……っ」 短く呻いてガクガク震えると、櫂斗はまたイッてしまった。どうしてこうも堪え性が無いんだろう、と思うけれど、それもすぐに頭の片隅に追いやられる。 「ほら、櫂斗ばっかり気持ち良くなってないで、動けって」 「ん、んん……っ」 櫂斗はゾクゾクする身体を抑えて腰を振った。時折イキそうになって動きを止めつつ、落ち着いたらまた腰を振るの繰り返しだ。 「櫂斗、そんなんじゃ俺はイケないぞ?」 そんな優しい腰の振り方じゃ、と突き上げられ、櫂斗は思わず声を上げた。 「あっ! ああっ、だめ、気持ち良い……っ」 「気持ち良いのがダメなのか?」 亮介は笑う。しかし櫂斗はそれに返す余裕もなく、与えられる快感によがり、悶えるだけだ。櫂斗の体重をかけることによって、より奥まで入り、良い所に当たって更に悶える。櫂斗の分身は萎えることなく先走りを溢れさせ、それが竿を伝って卑猥なビジュアルになっていた。 「櫂斗の中は温かいな。キュッと俺を締め付けたり、ふんわり包んだり……」 気持ち良い、と言われ、櫂斗は脳が焼けるかと思った。恥ずかしいのと、亮介が感じてくれてるのが嬉しくて、ぎゅっと両手を握ると亮介も握り返してくれる。 「ああっ、い、イク……っ! あああっ!」 精神的興奮もあいまって、櫂斗はまたイッてしまった。はぁはぁと乱れた息をしていると、亮介は櫂斗の手を引く。櫂斗はそのまま亮介の身体の上に倒れ込むと、噛み付くようなキスをされた。 「ん、んん……、っあ! あああっ! 亮介……っ!」 キスの途中で亮介の腰が動き出し、櫂斗はキスどころじゃなくなり声を上げる。 「ん? 良いか? 櫂斗……」 亮介の息が少し上がっている。それを感じただけで胸がギュッとなり、それと連動して後ろも締まるのが分かった。 「んっ、んんっ、気持ちい……っ、亮介、良いよ……っ」 うん、櫂斗の後ろ、すっげーヒクヒクしてる、と言われ、櫂斗は悶える。お尻を両手で掴んで揉まれ、腰の動きに合わせて動かされて、櫂斗は大きく身体を震わせた。 「ああ……っ! ……っう! 」 「おー……いっぱいイッちゃうな。……可愛い」 櫂斗は亮介の可愛いと言う言葉にも反応し、詰めた息を吐き出しながらヒクヒクしていると、亮介は櫂斗の脇に腕を入れて体勢を変える。 櫂斗はされるがまま大人しくしていると、ソファーに寝転がされ、亮介が上に来る。 「櫂斗……」 「ん、亮介……っ、好きっ」 二人はまた噛み付くようなキスを交わすと、亮介は動き出した。 「それは、俺が好きなのか? それともセックス?」 意地悪な事を言うなよ、と櫂斗は喘ぎながら言う。 身体の関係から始まったこの出逢いは、ずっと忘れる事はないだろう、と櫂斗は思った。そして、亮介以外にこんなにグズグズにされる相手も現れないだろうと思うと、本当に出逢えて良かった、と目頭が熱くなる。 「亮介が、好き……っ、もっと、オレを亮介無しじゃ生きられない身体にして……っ」 「……もうなってるんじゃないのかよ?」 彼は笑った。それでも櫂斗はもっと、もっとと亮介の身体に脚を絡ませた。 亮介が櫂斗の脚を抱えて、動きを早くする。 櫂斗はボロボロと泣きながら喘ぎ、何度も絶頂し、おかしくなる、と頭を抱えた。 「良いよ、おかしくなれ」 「ああっ! ……何か出ちゃうっ! 何か……っ、ああああ……っ!!」 櫂斗の宣言通り、櫂斗の性器からは液体が勢いよく噴き出す。それはなかなか収まらず、櫂斗はその強烈な快感にガクガクと身体を震わせた。しかし亮介は動きを止めず、相変わらず櫂斗の良い所を突いてきて、櫂斗は少し朦朧としながらもその快感を貪る。 (良すぎて……このままじゃ気絶する……!) 「ああっ! だめ! また出る!」 舌がもつれそうになりながらも叫ぶと、また同じように潮を噴いた。 「ああ……あ……っ」 「櫂斗、おもらししてるぞ? 漏らすほど良いのか?」 亮介の言葉に櫂斗は何度も頷き、中に亮介の精子いっぱいちょうだい、と口走る。もう自分でも何を言っているのか分からず、ただただもっともっとと亮介を求め、そして快感によがり狂うのだった。 「可愛いよ櫂斗……素直なお前が一番可愛い」 「亮介っ、亮介……っ!」 二人はお互いに抱きしめ合うと、同時に身体を震わせる。そしてまだ息も整わないまま、お互いに貪るようにキスをした。櫂斗はこんなにも自分を求めてくれる人がいて、それが亮介で、本当に良かったと思って、また涙が出てくる。そこから急に身体が重たくなり、もっと亮介を見ていたいと彼を見た。 「亮介……オレを痴漢から助けてくれて、ありがと……」 好きだよ、と呟いて、櫂斗は意識を手放した。

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