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突然始まる撮影会4

何も悟られないように呼吸を整えてから、リツキの方へと少しだけ振り返って声をかけようとする。リツキも首を傾げて俺の言葉を待ってくれているのが分かって、落ち着いてからなるべく軽く声をかける。 「リボン、外せた?」 「そうだな、大体は。ココから……ココまで」 「ひっ、あ、もう……くす、擽ったい……」 「そんな声だして、擽ったいだけか?」 今度は耳元で甘く囁かれて耳朶を喰まれる。リツキの声が頭の中でふわふわと反響して、俺も何だかおかしくなる。大したことなんてされていないはずなのに、身体も固まって動かない。 「色白だから、後ろ姿だけだったら女の子みたいだよな」 「色白で悪かったな。そりゃあ男にしてはひょろひょろだし。それでも品出しするくらいの力はあるからいいんだよ」 「分かってるよ。線は細くてもサツキは男だもんな。よし、ここまで解けば身体から抜けるだろ」 「肩が少しずつ落ちてきたのは分かるけど、結構ぴったりサイズだから慎重に、ね」 リツキの手が離れていくのが分かると、少しだけ寂しい気持ちになる。 (こう思ってしまうこと自体おかしなことなんだけど……) リツキは俺の言った通りに少しずつ衣装を下ろして肩を顕にしていく。肩口のレェスのシフォン素材も繊細そうだから、思い切って引っ張ってしまったら取れてしまいそうだ。 「両肩が見えてきた。あー……コレはマズイ。物凄くマズイ」 「は?何が?」 「そうだな……先に謝っとく。ごめん」 「え、それってどういう……え、何して…っ…」 俺の肩にリツキの顔がぶつかったと思ったら、そのまま肩に噛みつかれる。 甘噛みなのかもしれないけど、グッと力が入ると少し痛くて俺も顔を顰めてしまう。 「……つぅ。リツキ、噛んだでしょ?なんで……?」 「何か見てたらつい」 「ついって……ぁうっ、そ、そっちも噛まないで……っ!」 「ん。ごめん」 俺が訴えると素直に謝って、リツキは歯型が残っているかもしれない肩をペロペロと舐める。それはそれで妙にゾクゾクしてしまって、俺は気付くと口元に手を当てて声をあげないようにと何かに耐えていた。 「なぁ、サツキ。脱がしながらもっと触っていい?」 「な、なんだよ、それ。そういうのいいから、もっと普通に脱がせて欲しいんですけど!」 「やっぱり特別感あるっていうか、サツキが可愛いのがいけない」 「だーかーらー!それ、気のせいだって!俺じゃなくて衣装が可愛いんだって!」 俺は必死に否定するけれど、少しずつ膨らんできてしまった妙に期待する気持ちがバレてしまうのが怖い。この気持ちに蓋をするために、もう一度目を閉じる。 リツキはそれ以上は何も言わずに、スルスルと衣装を脱がしてくれた。 . 衣装は背中を抜けて一旦腰で止まる。腰の部分にも大きなリボンが結ばれているので、解かないと完全には脱げない。リツキは丁寧に腰のリボンを解きながら器用に俺を抱きしめるように距離を縮める。俺の肩に顎を載せながら、なぁ、と話しかけてきた。 「何?」 「綺麗に脱がしたら、抱きしめていいか?何ならその先も」 「え、急に?脱いだらって、ぜ、全部の話?え、え、どういうこと?」 「下着は残っても問題ないだろ、これOバックだし。どういうことって、そういうこと。サツキなら分かるよな」 選ばれた下着は確かにお尻の部分が開くタイプで、上の紐部分に可愛いリボンが付いている。完全に女性用のセクシーパンツを履かされていたことを忘れよう忘れようとしていて本当に忘れていた。だからスースーするし、前は逆にピタっとしているから苦しくて困る。 「忘れてたのに……現実逃避してたのに……そしてまたそういう流れ来たし……」 「サツキがやたらと衣装ばっかり気にするからさ。着ているサツキも着てないサツキも好きだし、もっと触れたい」 「ふ、触れても骨ばってるのに……どうして?俺、そんなに大したことないよ?」 「サツキはサツキだからいいんだよ。確かにもっと食べたほうがいいとは思うけどな」 物凄く甘い言葉を言われているけど、実際は服を脱がされている謎の状況に頭の中は大混乱しながら、もう諦めて全て脱いでしまいたいという気持ちでいっぱいになる。 この先、俺ごと食べられてしまうんだろうかと思ったら。恥ずかしくて何も考えられなくなった。

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