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「結婚は卒業してからで構わないけどな、やっぱりけじめはつけないとって思ってたんだ。
今度、予定を合わせて親御さんに挨拶に行こう」
「…………っ、いいの?
ホントに?夢じゃなくて!?ホントのホント!?」
「もちろん」
「嬉しい……っ、嬉しいよ秀さん!」
嬉しくてならなくて、涙が溢れる。
「毎年皆でご馳走食べて、花火して、ここで蛍を見るんだね?」
「ああ。
結の親御さんも誘って、皆で」
「………………っ、うん!」
無数の光の中、永遠の約束を交わす。
これからは、訳もなく訪れる不安も少しずつ減っていくのだ。
指を絡めて手を繋ぐ。
毎年未来の誓いを更新しながら、二人で歩いて行けるように。
「僕さ、もっともっと色々勉強する!
秀さんや皆の役に立てるように」
「俺も、結に心配かけないように頑張るぞ」
「ふふ……っ」
田圃の向こうに灯りが見える。
家族がいるからこそ、優しく、安らぎを覚える灯りが。
「共白髪の関係になろうな」
「……っ、うん」
照れ臭いけど。
それが幸せなのだろう。
農道を歩く二人を祝福するように、虫の声が響いた。
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