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呆気に取られる結人に、それぞれが歓迎と祝福の言葉をかけて戻っていった。
「……こっ、こんなにトントン拍子で話が進むって……」
「うちの家族は昔っからこうなんだよ。
気に入ったら、大歓迎。
司法試験通ったって変わらない。
判事でも検事でも、可愛い結くんって言う。
弁護士になったら、うちの農場の顧問弁護士にされるぞ」
「…………っ、何処の馬の骨とも分からないのに?
おおらか過ぎるよ」
「そんなもんだよ。うちはな」
クスクス笑いながら、秀が結人の手を取る。
家に向かうルートから少し逸れて歩く。
「秀さん、何処行くの?」
「ん~?俺のお気に入りの場所だ」
「そうなんだ……」
微かな水の音。
こんもりした林が闇に浮かぶ。
風は遮られていて、肌をかすめない。
「ああ、今年もいるな」
「え?うわ……!」
ふわああああ……っ。
水辺に漂うのは無数の蛍。
命の灯がゆらりふわりと揺らめく。
「護岸工事をしてないから、うちの農場は見放題なんだ。
特にここは、一番綺麗な場所」
「綺麗……っ、綺麗だね、秀さんっ」
テレビやネットで見たことはあっても、間近で見る光景は違う。
心を揺さぶる光景だった。
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