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6秘密のこと

 ソファに横たえられたシグラは、片足をソファの背にひっかけて大きく脚を開いていた。  赤く熟れた蕾にはクガイの指が二本ほど入り、ナカでぐちぐちと音を立てて動いている。力が入らないのかシグラはぐったりとしているが、快楽を覚えるたび小刻みに体が揺れていた。 「んっ、クガイ、ぃ、いい、そこぉ」 「ここっすね。……いっぱい擦っていいですか?」 「して、いっぱい……して……」  勃起した中心が揺れて、先っぽからは先走りが糸を引いて垂れる。そんな光景を前に、クガイはまたしても勃起した自身を取り出すと、シグラに見せるように激しく扱く。 「はっ……ほら、シグラ様、レシアが見てますよ……すっげえ甘い匂い出してます。興奮してる」 「あ、見られ、て、あっ、」 「うわ、締まった。見られて気持ちいんすか?」  ソファで絡み合う二人の正面。反対側のソファの近くには、真っ赤になったレシアが立ち尽くしていた。  その目はシグラの体から離れない。上気した肌も、潤んだ瞳も、いつものシグラからは想像もつかないほどには扇情的である。レシアは瞬きも忘れたようにそちらを見つめて、時折唇を湿らせていた。 「……ん、レシア……レシアも、して、」  シグラの目が、不意にレシアを映す。その瞳に映ったと思うだけで、レシアの後ろはさらに濡れた。 「……わ、私も、ですか……」 「ん、うん、レシア、っ、それ、苦しい……だろ……?」  レシアの中心に目を落としたシグラの視線を追って、レシアは初めて自身が勃起していることを知った。  執事として情けないことである。それにレシアはオメガだ。こういったことをして良いはずがなくて、ここで流されてしまえばきっと「やはりオメガは」と言われるに決まっている。  レシアはなけなしの理性を持って、なんとかシグラから目を逸らす。それを見たクガイが面白くなさそうにふんと鼻を鳴らすと、ナカを探っていた指を激しく擦りつけ始めた。 「ん! や、あ! クガイ、イく、イっちゃう!」 「イってください。ほら、シグラ様のここもイきたがってますよ」  言葉と共にシグラの手がクガイに導かれたかと思えば、それはシグラの揺れる中心に置かれた。自慰をしろと言いたいのだろう。クガイは自身のモノを扱きながらシグラの後ろを解していて、手が両方塞がっている。  シグラは迷うことなく自身の中心を掴むと、クガイの手の動きに合わせて必死にそこを扱いていた。 「あ! ああ! クガイ、出る、イく、イくぅ!」 「いいですよ」  ぐちゅぐちゅと激しく攻められては、我慢などできるはずもない。シグラはあまりにもあっけなく背を震わせた。  白が散る。それはシグラ自身の腹を濡らし、ほんのりと染まった肌を妖艶に見せる。 「……シグラ様、挿れていいですか?」 「っ、ヴィンスター、そんなことが許されるはずが、」 「挿れて」  シグラの言葉が落ちると、レシアはハッと振り返る。  シグラはすでに、すっかり熟れた顔をした雌だった。ベータというのにオメガのように男を誘い、自身で脚を開いて挿れられることを待っている。そんな姿にズクリと腰がうずいたレシアは、ふたたびそこから目を逸らす。 「いいんですか? これ挿れて」  しっかりと勃起したクガイのそこはやはり規格外だ。ぬるぬるとシグラのモノと擦りあっている今も、そのサイズの違いが恐ろしいほどである。  シグラの中心は、擦れ合う微量な快楽からまたしても固くなる。クガイがいやらしく腰を揺らしている姿がなんとも言えず色っぽくて、気が付けばシグラは早く挿れてくれと言わんばかりに自ら尻を開いていた。  これがアルファの魅力というのか。ベータさえこの有様なのだから、きっとオメガはもっとすごいのだろう。 「挿れて、クガイ、それで擦って」  クガイの濡れたそこが、ぬるりと蕾に触れた。しかし入るわけでもなく、ツンツンとそこを濡らすだけである。焦らされているということにもまた、シグラの体が昂っていく。 「あっ……クガイ……」 「本当……エロいですね、シグラ様」  ソファにひっかけていたシグラの片足を担ぐと、クガイはゆっくりと腰を押し進める。  クガイのモノが、シグラのナカにのみ込まれていく。そんな様子をただ、レシアは瞬きも忘れて見入っていた。 「……シグラ様……そのようなことを、使用人と……」  ズクズクと疼く腰の奥が、素直になれと急き立てていた。  レシアの後ろはすでにぐっしょりと濡れている。アルファのクガイにはすでに匂いで気付かれているのだろう。二人が繋がるところを見て、そこからはさらに蜜液が溢れた。 「あっ! クガイ、苦し……」 「はー……や、ば、狭い……シグラ様、ちょっとストップ。力抜いてください」 「ん、むり、無理、クガイ、助けて、」 「はいはい。もう、こんなときだけ可愛いんすから……」  クガイは体を倒すと、吸い寄せられるようにシグラに口付けた。  すぐに舌が絡む。角度を変えて深くなっていくそれに、レシアはまたも目を逸らせない。  クガイ・ヴィンスターという男は、レシアから見れば軽薄であるという認識だった。  誰にでも手を出すが、誰にも本気にはならない。優しくもなければ甘くもない。他の使用人がクガイとの夜の話をしていても、動いてくれないだの乱暴だのと散々な言われようだったことを覚えている。  それが今ではどうだ。  あんなにも嫌っていたはずのシグラ相手に可愛いと言って熱くキスをかわし、快楽のまま乱暴に突き上げるわけでもなく馴染むのを待っているなんて。  まるで恋人同士のセックスを見ているようだと。そう思ってしまえば、レシアの体も自然と動いた。 「ん……ん? は、シグラ様、ほら、こっち」  横目にレシアの動きを見たクガイが、ニヤリと笑ってシグラを抱き上げた。向かい合って座る体勢になれば、クガイのモノが奥を突く。その痺れにシグラがびくりと体を揺らすことにも構わず、クガイはシグラの体をぐるりと回した。  ソファに座ったクガイの上に、背を向けてシグラが座っていた。力が入らないのかクガイにもたれかかり、脚はクガイの手で開かれたままである。  ふらりとレシアが歩み寄る。そうして熱に浮かされた瞳で繋がっている部分を見つめると、シグラの脚の間に腰を下ろした。 「シグラ様、見てください。レシアが物欲しそうに見てます」  クガイに力なくもたれていたシグラが、その言葉に顔をあげた。そうして見下ろせば確かに、うっとりとした顔のレシアがシグラのモノを見つめている。  欲に溢れた、オメガの目だった。 「……レシア……舐めて……」 「……はい」  言われてすぐに、レシアは躊躇いもなくそこを喉奥までのみ込んだ。  シグラの体が一気にこわばる。ナカが締まり、それにはクガイも眉を寄せた。 「ん、んぶっ……はぁ、美味しい、美味しいです、シグラ様……」  奥までしゃぶりついては美味そうに舐めて、レシアはすっかり夢中になっている。  じゅるりと淫猥な音を立てて吸い付くその姿に、シグラの快楽も増していく。 「あっ! レシア、気持ちぃ、ああ! んっ……レシ、ア、イく、出、ちゃう、イく……!」 「う、わ、シグラ様、締めすぎ……動きますよ……」  微かに下から突き上げられて、シグラの背はさらにしなる。  腹の奥から快楽が這い上がる。いつの間にかナカに馴染んでいたクガイの中心が、強烈な快楽を生み出している。 「やだ! イぐ、イっちゃう、ああ! んッ!」 「はー、ダメだ、動きづらい」  クガイがつぶやくと同時、シグラの体が持ち上がった。  立ち上がったクガイは、前にあったテーブルにシグラの上体を押し付ける。中心にレシアが吸い付いているシグラは腰だけを突き上げたまま、クガイは下にいるレシアごと跨いで、激しく腰を打ち付けた。 「あ! あ、ぐ! イく! クガイ! あん!」 「ああ、俺も、イく。っ、気持ちいですよシグラ様。ナカに出していいですか?」 「だし、て、出してぇ……!」  ごちゅごちゅと力強く奥を穿つクガイの動きに、レシアの口に入っているそこも同じように微かに動いている。  レシアは処女だ。誰にもオメガなんて言うことなく過ごしてきたし、セックスにも興味はなかった。番もどうでもいい。本能を出すアルファのことは大嫌いである。  もはやセックスに対して潔癖すらあるのかと思えていたのだが……今のレシアは精子を求めて必死に男根にしゃぶりつく、ただの一人の雌だった。  早く出してくれと、喉奥から生まれる快楽に腰を震わせる。ナカにあるシグラのそれを必死に唇で扱き、舌で舐って、いやらしい顔をして精子を待っていた。 「あ、ん! あ! ひっ、イっちゃ……!」 「んっ……あー、出る。出すよ」  シグラの先端から白濁が流れ込んでくると、それは直接レシアの喉に注ぎ込まれた。その雄の味に思わずむせる。しかしシグラとテーブルに押し付けられている体勢なために離れることができず、鼻から精子が溢れてもどうにもできない。  やがてシグラの尻からも白濁が溢れた。クガイが出したのだろう。それはどろりと隙間から溢れて、下にいるレシアの洋服を濡らしていく。 「んぶ……あ……が……」  クガイが奥に擦り付けるような動きをするから、レシアの喉奥にもシグラのモノが擦れる。その快感に痺れを覚えると、スラックスの下で膨らんでいたレシアのそれも、その中で射精をしたようだった。  シグラから力が抜けると、クガイが上からしっかりとそれを支えていた。そうしてずるりとそれを引き抜く。蕾からは白濁が溢れ、シグラの内腿を伝っていた。 「レシア。生きてるか?」  シグラを軽々と横抱きにすると、クガイは下に居たレシアに視線を移したのだが。 「あー……トんでんの?」  鼻から精液を流し、うっとりとした表情で体を震わせているレシアを見て、どこか勝ち誇ったように笑っていた。 「さて、シグラ様、風呂入りますか」 「ん……まだ気持ちぃ」 「う。誘わないでくださいよ。ただでさえオメガの匂いがすごくて危ないってのに……」  ぶつぶつ言いながら、二人は浴室に向かう。その姿が見えなくなったのを見届けて、レシアはすぐにスラックスを下ろした。  前は白に濡れていた。そして後ろも蜜液でぬるぬるだ。  すぐさまそこに指を挿れると、ナカが待っていたかのように指を受け入れる。  擦るたびに気持ちがいい。ぐぽぐぽと抽挿を繰り返すほど、奥から蜜液が溢れて止まらない。 「あ、いい、気持ち、いっ……」  口に入っていたアレがここに挿れられていたら、レシアはどれほど気持ちが良かっただろう。  気持ちがいいとトロトロになっていたシグラ。そんな彼が甘えるようにレシアを抱きしめて、夢中になって腰を振り快楽を貪るのだ。 「あ! そこ……もっと、シグラ様……!」  奥に届かない。もっと抉ってほしいのに、指なんかじゃ物足りない。  ふたたび熱を持った前を握って、必死に擦り上げた。それでもやっぱり、快感が違う。 「イく、イきます……シグラ様、ナカに、出して……」  乱暴な手つきで奥を暴き、前を扱いていた。それくらいしないと、物足りなさを埋められなかった。  ぐちょぐちょといやらしい粘ついた音を立てながら、レシアはとうとう腰を揺らす。びくんと震えてそこを見れば、自身の前からまたしても白濁が漏れているのが分かった。 「……たり、ない……」  もっと奥を突いてほしい。  もっと奥に触れてほしい。  レシアは起き上がり小さくつぶやくと、余韻に浸りながらも着衣を始めた。    

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