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言質、頂きました!

「癖付けした方が、絶対いいと思うんですよね。  だから練習は、これからも続けましょっか?」  戸惑ったように揺れる、田橋さんの瞳。  分かりやすく、動揺し過ぎだろ。  ……ホント、アホ可愛いなぁ。  しかし……これは間違いなく、押せばいける!!  そう確信したから、笑顔のまま続けた。 「まぁ俺としては、どっちでも良いんですけど。  でもせっかく少し良くなったのに、また勃たなくなったら、俺が今夜してあげた事も全部無駄になっちゃいますが」  しれっと、さも田橋さんのためみたいな顔をして(うそぶ)く俺。  すると田橋さんは涙目になり、俺に抱き付くみたいにすがり付いた。 「すまん、木元!  それは、困る!また練習に、付き合ってくれ!!」  思わず吹き出しそうになり、無理矢理表情を引き締めた。 「仕方ないですね。  でも体が感覚を覚えているうちの方が、良いと思うので。  ……明日とか、どうですか?」 「良いのか?ホント、お前はいいヤツだなぁ……」  嬉しそうに笑う、田橋さん。  素直過ぎるだろ。……さすがにちょっとだけ罪悪感が、頭をもたげそうになった。    だけどもう、後には引けない。  だってこの人は、もてるのだ。  ……男にも、女にも。  こんな据え膳みたいな状態で、放り出したらどうなるかなんて、目に見えている。 「いいですよ。他でもない、田橋さんのお願いですから!   困った時は、お互い様です」  ……彼が頼ってくれたのが俺で、本当に良かった。  我ながら、腹黒いなぁと思いながら。  にっこりと微笑み、良き後輩の顔で告げた。 「遅くなっちゃいましたし、今日はもう泊まっていって下さい。  明日は土曜日ですし。  田橋さんに、予定がなければですが……」  「いいのか?何から何まで、すまないな。  今度なんか、お礼させてくれ」  満面の笑みで答える、田橋さん。  すでに対価は頂いているワケだが、それに微塵も気付いていないらしい彼の言葉に、こっそり小さく苦笑した。

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