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第16話
その日見た夢は昔の幼い頃のときの記憶。
『あきら、おれがおまえのことずっと、一生まもってやるからな!』
兄貴が10歳、俺が4歳頃だ。
この頃の兄貴はまだ幼さがあって、歳の離れた弟をよく可愛い可愛いって言ってたなあ。
『晃、本当にお前は可愛いね。』
突然夢の中のシーンが変わって、半裸の兄貴がそんなことを言う。
そして、そのまま顔が近づきーーー・・・・・・。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
俺は未だかつてないくらいの大声と共に目が覚めた。
「は!?何!?」
俺の声につられて隣で寝ていた兄貴が不機嫌そうに目を開ける。
「は?つか、何で兄貴が隣に!?」
夢のこともあって一瞬パニくりながら兄貴を見下ろす。
「・・・・・・うるせえ。もう少し寝てろ。」
さっきよりも不機嫌オーラ出しながら俺の腕をぐっと引き寄せ、兄貴の肩あたりに埋もれるように倒れ込む。そのままガッチリ抱きしめたまま眠りにつく。
目を閉じると夢の中の兄貴が浮かぶから、変に心臓がバクバクしたのと大人になってこんな風に抱きしめられることもなくて、なんていうか、色んな意味で寝るに寝られない。
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