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第十一章・3

「ぐッ、あ! や、めろぉ!」 「この、下衆が!」  あまりの哲哉の剣幕に、池崎も玲衣も呆然とした。  容赦なく、殴る。  頭部を、顔を、腹を。 「実の子に、こんな! お前など、玲衣の父親である資格はない!」 「哲哉さま、もう。もう、この辺で!」  胴にしがみつき、池崎が止めに入る。  息を荒げ、哲哉は父を睨みつけた。  無残に鼻血を流している、薄汚れた男。  だが、まだ減らず口を叩いてきた。 「親が。親が自分の子どもを、どう使おうと勝手だろぉ!」  この言葉に、哲哉は逆に殴られたようなショックを受けた。 『私の所有物をどう扱おうと、私の勝手だ』  過去に、言い放ってきた自分。  冷たい仮面のような表情で、眉ひとつ動かさずに。 (私は。私は、この男と同類だったのか) 「哲哉さま」  哲哉の意識を引き戻したのは、玲衣の声だった。

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