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第5話

その夜。 2人がテーブルを挟み、雑魚寝のようにし寝ついたのを見計らい、ベッドから起き上がった。 暫く、先程までセックスしていた2人を見下ろしてた。 未だ、頭の中で整理がつかない。 本当に俺が見ていた行為は現実だったのかもわからない。 でも、この場はもう立ち去りたい。 そして、あわよくば、二度と来たくはない...。 なんとなく、わかってる。 2人が俺の知らないうちに、そういう...体の関係を持っていたんだって。 来たときの自転車で帰宅した頃には夜中だった。 暗闇の中、階段を上がり、自室のベッドに身を投げた。 結局、いつの間にか、眠っていたらしく、気がつけば朝だった。 「風邪、ひいたみたい」 家族とダイニングテーブルを囲む中、切り出したが、 「受験生なのに、仮病は駄目よ。なにかあった?」 母に窘められ、口ごもった。 「昨夜、涼太くんの家で勉強会だったんでしょう?喧嘩でもしたの?」 「....喧嘩ってわけじゃ」 目の前の皿に乗ったピザトーストを小さく齧る。 「喧嘩は先に謝った方が楽だぞ、樹」 何も知らない父はそう言った。 謝る....。 俺がどう謝ればいいんだろう...? 「ご馳走さまー、私、先行くね」 2つ下、中1の妹の夏美が席を立った。 気は進まなかったが、俺も遅ればせながら、登校した。 「おはよー、樹」 席に着くなり、涼太が寄ってきて、変わらず明るく声を掛けてくる。 「....おはよ」 「昨日、いつの間に、帰ったの?夜中、トイレで目が覚めたらいないんだもん」 「えっ、うん...ごめんね」 なに謝ってるんだろ、俺....。 「心配しちゃった。無事に帰れてるかなあ、て。メール入れたんだけど返事ないし」 「あ、ごめん、確認してなかった」 チャイムが鳴り、涼太は、また後でね、と自分の席に戻り、俺はほっとした。 それからも、涼太も豊も変わらず接してくる。 やっぱり、あの夜、見たものは夢だったのかな...。 1年から2年までは豊と同じクラスだった、涼太と同じクラスになったのは2年から。 知り合ったのは小学校に遡るけれど、俺たち、3人はいつもずっと一緒、だった。

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