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困惑
涼太の部屋を後にした俺はふらふらと中庭を歩き、木々に囲まれたベンチにペタン、と座り込んだ。
昼間は春の陽気で暑いくらいだが、風が心地いい。
見上げると幾つかの星が見えた。月は見えない。
「夕飯は食べねーの?おチビちゃん」
振り返ると、足を崩して座り、ハンバーガーを貪る金髪の男子、俊也の姿があった。
草っ原に紙袋を置き、その上にハンバーガーの包みとポテトが乗っている。
「寮の夕飯、食いっぱぐれんじゃねーの?」
「別にいい、お腹すいてはないし」
「だから、チビなんじゃん、ほら」
まだ手付かずのバーガーを差し出された。
「いいよ、大丈夫。それに、俊也が足りなくなる」
「いいから、ほら」
無理やり、手にバーガーを握らされた。
「ポテトも自由に食っていいから」
俺の座るベンチの隣に俊也が移動してきた。
「この場所いいよな、特に夜はあんま人も来ないしさ」
「...よく来るの?」
「うん。戯れんの嫌いなんだよね、俺」
そう言うと、大口でバーガーにかぶりつく。
「お前も冷めないうちに食えよ。って、もう、冷めてっか」
モガモガとバーガーを食べながら喋る俊也。
確かにもう冷めきってる。
「....いただきます」
せっかくだし、本当は俊也の食べているハンバーガーに釣られたようにお腹はすいてた俺はバーガーに齧り付いた。
「飲み物は半分こな」
互いの真ん中にLサイズのカップのジュースが置かれた。
「なんか悩み?」
「....話したら長くなるから」
「ふーん...ま、話したくなったら話せばいいよ、テキトーに」
俊也のマイペースな口ぶりがおかしくて、また笑いそうになった。
「まーた笑う。そんなおかしい?俺」
「あ、ごめん。変な意味じゃなくって。面白いなって」
「まーた、謝る」
ガブ、と俊也がバーガーに齧り付く。
思わず、また、ごめん、と言ってしまった。
それから、次第に学校でも俊也と一緒にいる機会が増えていった。
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