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第15話
「小籠包、オススメよ、マジ美味い」
「へえ...食べた事ない、あっ」
「どした?」
「....財布、持ってきてない、俺」
テーブルを挟み座っている俺はてっきり食堂へ行くんだとばかり思っていたから財布を持って来ていなかった。
「大丈夫、俺、財布、持ってるから。てか、なに食う?他。たくさん食えよ、チビ」
相変わらず、たまに俊也は俺をチビと呼ぶ。
でも、不思議、嫌な気分はしない。
きっと他の人に言われたら気分悪いし、傷つきそう、なのに俊也は平気。
「チビでいいし」
「良くねーよ?チビの利点は?」
うーん、と首を傾げ、考えた。
「....無い、かな」
「だろ?だからいっぱい食えよ、チビ」
思わず、笑った。
俺が小柄で細いから、しかもオメガだから、多分、俊也は気を使ってくれてるのがわかるから。
「あっ、これ、海鮮焼きそば、美味しいかな?」
「美味かったよ、それと、定番の餃子と炒飯も頼むか、後は?」
2人でメニューを見て選んだ料理が次々に運ばれてきて、テーブルを埋め尽くす。
「いただきます」
手を合わせ、すぐに俊也のオススメの小籠包に挑戦。
「皮が破けるから、レンゲに掬って、こう。息吹きかけて冷まして食べないと中のスープで口ん中、火傷するからさ」
「そうなんだ...」
見様見真似で小籠包を頬張った。
「.....っ!」
「美味い?」
口の中に小籠包があるので、ひたすら頷く。
そんな俺を見て、俊也も小籠包を食べた。
不意に俊也が目を見開いた。
何事かと思ったら....。
「海老チリ、忘れてた!海老チリも頼も。あ、海老マヨもいいな...ま、いっか、両方、頼も。お前も食えよ」
「えっ」
既にテーブルには様々な料理が並んでいるのに。
「あっ、野菜が足りないか、んー、ハーフサイズで野菜炒めも頼むか」
「そんなに入んないよ、俊也」
「大丈夫、樹なら」
ニコッと微笑み、俊也はおばちゃんを呼び、追加で注文した。
食堂を出た頃にはお腹が苦しすぎてやばかった。
「デブになりそう...。良く太らないね、俊也」
「んー?一応、筋トレしてるからかな?あと、たまに走ってる。中庭、結構、広いじゃん?」
本当、俊也の行動力には脱帽する。
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