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第51話

俊也と知り合って、いつも俊也といるからかな。 涼太を自然と笑顔で出迎えてた。 豊とのことはもういい。 豊がまさか、涼太を脅して犯していたなんて思いも寄らなかったけど...。 でも、豊には会う気がしない。 「どうしたの?紅茶でいい?」 「うん。昨日さ、何処に行ってたの?」 え?とキッチンに立つ俺が振り向くと、テーブルの前で頬杖をつき座る、笑顔の涼太と目が合った。 「部屋、来たのに、いなかったから。遊び行ってたの?」 「え?う、ううん。実家に戻ってた」 俺は何故か、涼太に嘘をつき、視線を逸らし、紅茶を煎れる。 ....嘘、ついちゃいけないのに。 でも、なんだか、涼太に、俊也と特別な夜を過ごした、て話したく無かった。 俺と俊也だけ、二人だけの素敵な思い出にしたいから...。 「なーんだ、そうだったんだ。言ってくれたら良かったのに。久しぶりに夏美ちゃんにも会いたかったな」 涼太の前に湯気を立てる紅茶のカップを置くと、ありがと、と涼太はカップを持ち上げ、小さく飲んだ。 俺もテーブルを挟み、紅茶を含む。 「ね、今度、一緒に遊び行かない?樹」 「遊びに?」 「うん。樹が行きたいところなら何処でもいいよ」 「涼太は行きたいとことかないの?」 涼太は特徴的な丸い目を細め、満面の笑みを浮かべた。 「うーん、特に無いかなあ?樹が行きたいところに一緒に行きたいから」 「そ、そっか」 なんだか気まずくて、涼太の笑顔を見ないように再び、紅茶のカップを持ち上げ、飲んだ。 不意に。 「樹、開けるぞー」 と、俊也の声がした。 「あ、俊也くんだ」 何処か醒めた表情で、涼太は俊也の声がしたドアを振り向いた。 「よっ、樹。約束してたもの....」 俊也の視線が、涼太に落ちる。 涼太はきょとん、とした顔で無言で俊也を見上げていた。 「こんにちは、涼太。久しぶり」 俊也が笑顔で涼太に声を掛け、俺は唖然としてしまった。 「....久しぶり。俊也くん」 涼太は鳩が豆鉄砲を食らったような顔で答え、そんな二人を暫し、俺は交互に見つめた。

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