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友達って...?

俺の膝に頭を預け、夜空を見上げたまま、俊也が切り出した。 「すっげー、ひっつき虫だな。あいつ。疲れない?樹」 「....どうだろ」 「あいつはお前を恋愛対象に思ってるなら、そりゃそうか。好きな奴といつも一緒にいたいし、話したい。はっきり断るのは危険そうだしな...付き合うつもりはないだろ?あいつと」 「そりゃ、そうだよ...」 俺、俊也が好きだから。 確信に変わったから。 「なんかさ、不思議だよな。お前と涼太」 「不思議、て?」 不意に俊也が俺の目を見た。 「本当にお前にとって、あいつは友達?」 「....友達だよ」 「あいつが一方的にペラペラ喋って、お前はあいつに合わせて。樹、俺とは会話のキャッチボールが出来てるのに、あいつとは違う。気づかない?樹。自分で」 「....そうかな....ノリ、ていうのかな、違うから、そう見えるのかも....」 「それもあるけど、素を出せてない。お前は合わせてるだけ。....俺が言うのもなんだけど、それって友達、て言える?」 答えられなかった。 俊也と見つめ合ったまま、過ぎていく時間。 「安心して。別に樹を責めてない。確認したかっただけ」 「うん....」 「....俺の恥ずかしい...あの駄作の....読んだ?」 「え....うん」 顔が熱い。 暗いから気づかれないといいな...。 「ヤバ、なんか、すげー、照れくさい」 俊也は起き上がり、俺の隣に座った。 「....詳しい話し、まだ、話す勇気がないけど....」 「うん」 「必ず、いつか話すから....樹にはさ、知ってて欲しい気もするし」 「うん」 月明かりでわかる。 俺だけじゃないんだ。 俊也も耳が赤いことに気がついた。 自然と自分から地面にある俊也の手の甲に手のひらを重ねた。 驚いた顔で俊也が俺を向く。 「俊也、顔、赤い」 「うるせー」 照れてる俊也もなんだか、愛おしい。

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