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第64話

「ねえねえ!三人でさ、カラオケ行かない!?」 土曜日、俺の元に来た涼太が笑顔で切り出した。 ちょうど、俊也もいて。 「別にいいけど、豊も誘っていい?」 「えっ?」 俺は思わず、豊を誘う提案をした俊也を見た。 涼太、豊に俺の身代わりみたいにセックス強要されてた、て泣いてたのに....。 俊也に伝えづらかったから.....。 「ど、どうしよ、あ、樹が気まずいよね?」 「えっ?でも、涼太は...」 「あー!やっぱ、やめよ!?また今度!」 涼太の焦ったような笑顔と怪訝な顔の俊也を交互に眺めた。 「豊なら反省してる。樹に謝った、て言ってるけどさ、未だに樹への罪悪感、抱えてて....樹が辛いなら仕方ないな」 「....行く」 「え?」 涼太が丸い目で俺を見た。 なんだか、豊と涼太の話し、食い違ってるとは思ったけど、涼太の態度、なんだか、おかしい。 俊也も多分、それに気づいてる。 もし、俊也が話してる通りなら....俺はもう、気にしていない、て話したい。 俺は俊也が好きだから。 それに、俊也が言ってくれたように、素の自分で涼太と向き合いたい。 顔色を伺ってばかりの自分に俊也のお陰で気がつけたから....。 「駄目?涼太」 涼太の珍しく戸惑っている顔を見、俊也にプレゼントされたブレスレットを巻いた左手首を握った。 直接、カラオケBOXで待ち合わせることになり、先に俺と俊也が着いた。 「嫌な思い、させたらごめん、樹」 「大丈夫。俺もすっきりしたいから....」 「時間まで、握っていてい?」 俊也が手を繋いだ。 温かくて、指が長くて大きなてのひらを、俺も握り返した。 しばらくして、涼太と豊も別々に来て、 「久しぶりだな、涼太」 と豊は何処か、皮肉めいた笑顔を向け、 涼太はそっぽを向き、 「....久しぶり」 と、口を尖らせた。 「せっかくだし、パーティルームがいいな」 「....パーティルーム?なんだ、それ、パーティすんの?イマイチわからない、まだ初心者だしさ」 ふと閃いた俺に、俊也が問うと、涼太も豊も俊也に丸い目を向けた。

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