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第78話
「でも、バーベキューできる、ていいな」
「うちの別荘も出来なくはないけど、準備が大変だから...。だったら、コテージにする?あ、手持ち花火も持っていきたいね」
豊に、俊也が答えると、俺と涼太は、
「手持ち花火!?やりたい!」
「だね、もう初夏だし」
いつしか、俺もみんな、俊也の病院で起きた、有名女優の飛び降り自殺のニュースを忘れ、ノリノリな気分になった。
「じゃ、ちょっと待って、手配する」
俊也が何処かに電話し始め、出来たら穴場的なところで、星空が見える、コテージで、と俊也は話してる。
ついでに花火やバーベキューもしたいし、とか。
しばらくすると、電話を切った俊也が笑顔になった。
「めっちゃラッキーじゃない!?今夜から明日まで、流星群が見れる予定なんだって!」
「流星群!?」
みんな、身を乗り出した。
「俊也、見たことある?流星群」
「ううん、ないよ。樹は?」
「俺もない」
「涼太もないよな?」
豊が隣の涼太に尋ねると、
「えっ?う、うん、ない」
「そっか、俺もまだない」
優しい豊の笑顔が涼太には眩しいのかもしれない。
「じゃ、食べたら、向かお!?」
「食べたら、て、どうやって?」
俊也は頬張った料理をもぐもぐさせ、飲み込んでから、
「タクシーで」
と、言い、また、みんなを驚かせた。
「思い立ったが吉日じゃん?それに流星群、見逃すとか残念だし」
「....それはそうだけど」
「ほら、樹もさっさと食べちゃいなよ。涼太も豊も。だいぶ、冷めちゃったな」
そうこうしてるうちに俊也のスマホが鳴った。
どうやら、コテージが見つかったらしい。
....俊也の笑顔が見れるなら、ま、いっか。
隣で急いで料理を口に運ぶ、笑顔の俊也の横顔を見つめた。
俺まで笑顔にしてくれる、明るくて優しい笑顔。
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