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第83話
ツインだから同じベッド、て訳でもないのに....緊張して胸がドキドキして。なんだか苦しい。
背中を向けているけど、少し離れたベッドには俊也がいる。
「なあ、樹」
「う、うん」
「...少し、そっち行ってもいい?」
俊也は返事を待ってくれているようで。
勝手にベッドに入っては来ない。
「う、うん...」
俊也の歩いてくる音。
暫くして俊也は背中に張り付くようにベッドに入ってきた。
「...今日はありがと、樹」
不意に、俊也を振り向くと、窓の薄いカーテンの月明かりが俊也の柔らかな笑顔を照らしていた。
「....別に感謝されることじゃないし、寧ろ、感謝したいのは俺や涼太や豊だよ...?」
俊也の長い指が俺の髪を撫でた。
「樹が言い出してくれなかったら、流星群とか見る機会もなかったし。それに、凄く楽しかったから」
思わず微笑むと、俊也は唇に優しいキスをくれ、瞼を閉じた。
離れるとまた、唇を押し当てるだけの優しいキス。
「涼太たちさ、明日、バーベキューや花火したい、て言ってたよ」
「楽しみ」
「俺も」
今度は俺から俊也の唇に唇を押し当てた。
「....俊也の唇、柔らかい....」
俊也は困惑した表情で、俺を見下ろすと、
「歯止めが効かなくなるから、ここまで。今日はもう寝よ?樹」
「うん....」
....変だ、俺。
やめないで、なんて思ってる。
ちょっと拗ねそうになりながら、俊也の腕枕で眠った。
「小さくて細くって女の子みたい」
「...女の子とこういうことしたことあるの?」
「無いよ。想像してみただけ」
俊也が俺の瞼にかかる前髪を優しく払い、笑顔を見せた。
釣られて、俺も微笑むと、再度、瞼を閉じた。
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