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第96話

翌日の日曜日にはコテージを後にした。 涼太は随分、眠たそうで瞼を擦ってる。 「ほら、我慢せずに寝ろ」 涼太の頭を抑えて、豊が肩に置くけど、涼太は、 「眠たくなんかないし!」 歯向かうものの、 「黙って寝てろ」 すぐにまた頭を抑えられ、涼太は豊の肩に頭を埋め、おとなしくなったかと思ったら、暫くすると、小さな寝息が聞こえだした。 「....涼太って、昔から朝、弱いよね。低血圧なのかな」 「....どうだかな」 俺と俊也は初めて昨夜、軽い言い争いをした。 1つのベッドで小さなキスを何度か繰り返し、抱き締められて眠る。 「おやすみ、樹」 俊也はそう言ってくれても、俺は布団の中から天井を見上げたまま。 「....これじゃ、蛇の生殺し」 心地いい俊也の体温に包まれ、不意に隣を見ると、間近に俊也の顔がある。 閉じた瞼は睫毛が長くって、通った鼻筋、もしかしたら俺より色白かも。 少し厚めな唇は桜色で...。 「....俺より色っぽい....」 そっと、顔を近づけ、唇を寄せると、俊也の瞼が開いた。 「....寝るぞ、樹」 「...寝たくない」 「...もう夜中だぞ?遊び足りないのか?」 「そうじゃなくって!」 思わず、起き上がると、横になったままの俊也が驚き眼で俺を見上げた。 「キスだけじゃ嫌だ!」 ....言っちゃった。 「....寝るぞ、樹」 「なんで駄目なの?」 「....経験ないし」 「....え?」 「....俺、童貞だし、樹に痛い思いとかさせたくないし」 「じゃ、なに!?俺以外の誰かと練習でもするの!?」 「いや、そんなわけ....」 「だったら!」 俊也に抱きついた。 「俊也の初めてを俺が貰うから、俺の初めて、俊也が貰ってよ」 そうして、俊也の唇を奪った。 が、即座に俊也に肩を捕まれ、 「....寝るぞ」 そのまま、仰向けに寝かされた。 「そんなに焦ってやる事じゃないだろ。...それに抑制剤は用意したけど、避妊具までは用意してないから。妊娠でもしたらお前、学校にも行けなくなるし、お前の親を泣かせたくない」 冷静沈着な俊也の話しに、単純な俺は納得させられた。

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