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宙に浮く感覚が...

ああ....俊也が、好きだな、俊也の横顔に思わず見蕩れながら並んで手を繋いで歩いてる....。 真っ直ぐな柔らかい眼差し。仄かな微笑。 ずっと、ずっと見ていたいな....。 金髪の俊也もかっこよかったけど、端正な色白な顔に似合ってたけど。 黒髪の俊也もまた凛々しくて、どちらの俊也も...好きだな。 「一緒に映画館に来た記念とか....何かいる?樹」 俊也は嬉しそうに俺を見つめ、そう微笑んで....。 パンフレットを二冊、購入してくれ、一冊を俺に手渡してくれて....。 「どうする?お腹は空いてない?喉乾いてない?カフェか何か入る?」 ....愛されてる、て感じがして、キュンキュンするというより空に体が浮かんでるみたい、宙に浮いているみたい、ぽかぽかして、高揚してる、そんな感覚....。 唐突に肩を抱かれ引き寄せられ、俊也に見蕩れながら歩いてた俺は顔を覗き込まれた。 ピアノを弾く俊也の長くて綺麗な指先....大きな優しい手のひらが俺の肩を抱いて...ドキドキする....。凄く。 「大丈夫?どうかした?」 俊也の顔が、近くて。 うわ....俊也の瞳が俺をしっかり見てる、そんな真っ直ぐで優しい瞳から目が離せない....。 でも、なんだろ、照れくさくて、口元を思わず軽く抑えて。 「う、ううん....。ただ....」 「ん?」 尚更、俊也は俺の瞳を見つめて。 「どうした?樹」 「お、俺、....好きだ、俊也、すっごく、すっごく好きだ」 ああ、なんだろ、俊也はしばらく瞬きもせずに....でも直ぐに柔らかく微笑んだ。 「俺も。すっごい好きだよ、樹のこと」 う、うわ....。 う、嬉しい、な....。 見つめられ、本当に、本当に優しく嬉しそうに言われたら...嬉しくてたまらない....。 「とりあえず、カフェでも入ろうか?歩き疲れる前に」 ....歩き疲れる前に。その響き、いいな。 俊也、好きだ。どうしよう、凄く大好きだ。 「俊也、俺、ラブホテル...行きたいな、前、行った、とこ、行きたいな....」 しばらく俊也はきょとん、としてた。 なにもしていない、ただ、2人ではしゃいで抱き締められただけ、だった。 まるでVIPルームみたいな部屋で....。 一緒に備え付けの温泉に浸かって、食事をしたり映画を観たりした。 「んー、後で豊たちと合流する予定だけど...いいの?」 「え....?」 「ん?樹、涼太のこと、心配かな、とか。豊たちのこと...思ったんだけど。2人はショッピング行く、て聞いて、昨日、豊から。断り入れようか、だったら」 俊也が俺に尋ねた。 そうだ、2人も映画に誘うつもりだったんだけど...2人きりで行きなよ、俊也は2人きりで行きたいと思う、て豊にそう窘められて....。 もしかして、俊也は俺が涼太たちが心配じゃないか、て気遣って、くれた、のかな....。 「どうする?樹。俺はどちらでもいいけど....」 優しく勇敢な瞳に囚われて。 吸い込まれそうになる。 あ、本当だ。無理に体を繋げなくても、このふわふわした、愛されてる、て感じ、この感覚...まだ感じていたい。 俊也の肩に凭れて。 「ん....喉、乾いてる、な、とても」 にこ、と俊也が微笑んだ。 「俺も。なにか飲もうか。樹はミルクティーでいい?何がいい?」 ああ...嬉しいな。 肩を抱かれて、そんなに優しく尋ねられて、俺、すっごく幸せだな....。 「うん....」 見蕩れながらも俺は小さく頷いた。 俊也の微笑に釣られるように微笑みながら、頬を染めながら....。

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