126 / 154
夕飯の後に食べるもの
「....なにカフェでイチャついてんの?」
笑いを堪えたような声に、俊也に寄り添い思わずうっとりと肩に頭を預けていた俺は、は、として見上げると涼太と豊の笑いを含んだ顔に見下ろされていた。
うわ....恥ずかしい。
「窓際だから外から見掛けてさ。邪魔したくなかったけど、学校の奴らに見られたらどーすんの?」
2人とも吹き出しそうになってる....。
....た、確かに、だ、な。
慌てて、少し冷静になり座り直した。
「俺たちも一緒いい?喉乾いちゃった。歩き疲れたし暑くって」
涼太の笑顔が...思いがけず爽やかだ。
....豊に話して気が楽になった、のかな...?
目の前に涼太、俊也の前に豊が座る。
「豊はなんにする?」
「んー、アイスコーヒーにするかなあ」
「そっか。なんにしようかなあ...迷うなあ」
....2人の雰囲気が違う、な....。
「....2人は何処行ってたの?ショッピング、て聞いたけど、俊也に」
そう普通に尋ねたら、目の前の涼太の顔は目を丸くし真っ赤になり、隣の豊は笑顔。
「塗り替えてきた。アロマグッズ買いに行ったあと」
「....塗り替え、て?」
涼太が軽く握った拳で口元を隠し、そっぽを向いた。
豊の方ではなく、窓側を。
...涼太、いつもならキレそうなのに。
照れてる、ような...。
「....もしかして...」
「想像に任せる」
あ、やっぱり....。
「え....ズルい」
思わず指先で口元を抑えてついて出た....。
「俺たちは本屋行く約束じゃん?樹」
「...そうだけど、映画館でも我慢してたのに」
え。て顔でみんなが俺を見て、涼太と豊に至っては吹き出した。
「な、なに、映画館でするつもりだったの....?」
笑いを堪えて声を震わせながら涼太が言う。
隣の俊也、....きょとん、としちゃってるし....
「....涼太のバカ!そういうんじゃない、けど....多分」
豊の肩が震えてる...く、く、て笑い堪えてる....。
「多分、て....」
「....どうだった?涼太」
父親からの虐待やレイプだとかを心配して、そう聞いたつもりだったんだけど...涼太、口開けて、は?て顔してる。
「....感想、言わなきゃなの?」
「あ、ううん、そ、そうじゃ....」
あ、でも...そうも捉えられる、か、確かに...。
「まあ、塗り替えられて良かったんじゃん?涼太」
俊也が笑顔でそう言うと、
「ま、まあ....」
「お前らも夕飯食べ終わったら行けば?ホテル」
....豊、いきなりなにを。あっけらかんと。
俊也をチラ、と見上げたら、また目が合った。
じ、と俺の瞳見つめてるだけ...。
「....行く?あとで」
....う、うわ...か、顔が熱い。
2人の前で....俊也。
「....意味、わかってる....?」
「まあ、....大体?」
さっきの涼太みたいに軽く握った拳で口元を抑えた。
....実は一応、抑制剤も、...飲んできたし、持ってきてたり、する、んだけど....。
「まあ、16だし?いいんじゃね?優しくこう愛撫してもらってさ、キスもたくさんしてさ」
....あ、涼太、照れくさそうにまたそっぽ向いた、けど、....拗ねたみたいに口尖らせてるだけだ。
....愛されてる、て感じのセックス...どんななんだろう....。
また、チラ、と俊也を盗み見みる。
「そうだな、俺もそろそろいいかな、て思ってたしな」
そ、そうなんだ....口元を押えたまま、豊に話す俊也の横顔を眺めた。
無表情とは違うけど、冷静な俊也が、
「本屋行って夕飯にしようか?なに食べたい?樹」
優しい笑顔で尋ねられた、けど....
俺、てば。
夕飯の後は....俺が俊也に...食べられる感じなの、かな、なんて...また小っ恥ずかしいこと考えてた....。
「どうした?嫌?」
思わず俯いてしまい、俊也に小首傾げて尋ねられた。
「う、ううん...な、なに食べよっか....」
視点が合わせられず、精一杯の返事に涼太も豊も見透かしたかのように笑ってた。
ああ....照れくさい、な。
少し...違うな...凄く。
俺も照れくささ隠すように口元に手を添えたまま、はにかんだ。
ともだちにシェアしよう!