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夕飯の後に食べるもの

「....なにカフェでイチャついてんの?」 笑いを堪えたような声に、俊也に寄り添い思わずうっとりと肩に頭を預けていた俺は、は、として見上げると涼太と豊の笑いを含んだ顔に見下ろされていた。 うわ....恥ずかしい。 「窓際だから外から見掛けてさ。邪魔したくなかったけど、学校の奴らに見られたらどーすんの?」 2人とも吹き出しそうになってる....。 ....た、確かに、だ、な。 慌てて、少し冷静になり座り直した。 「俺たちも一緒いい?喉乾いちゃった。歩き疲れたし暑くって」 涼太の笑顔が...思いがけず爽やかだ。 ....豊に話して気が楽になった、のかな...? 目の前に涼太、俊也の前に豊が座る。 「豊はなんにする?」 「んー、アイスコーヒーにするかなあ」 「そっか。なんにしようかなあ...迷うなあ」  ....2人の雰囲気が違う、な....。 「....2人は何処行ってたの?ショッピング、て聞いたけど、俊也に」 そう普通に尋ねたら、目の前の涼太の顔は目を丸くし真っ赤になり、隣の豊は笑顔。 「塗り替えてきた。アロマグッズ買いに行ったあと」 「....塗り替え、て?」 涼太が軽く握った拳で口元を隠し、そっぽを向いた。 豊の方ではなく、窓側を。 ...涼太、いつもならキレそうなのに。 照れてる、ような...。 「....もしかして...」 「想像に任せる」 あ、やっぱり....。 「え....ズルい」 思わず指先で口元を抑えてついて出た....。 「俺たちは本屋行く約束じゃん?樹」 「...そうだけど、映画館でも我慢してたのに」 え。て顔でみんなが俺を見て、涼太と豊に至っては吹き出した。 「な、なに、映画館でするつもりだったの....?」 笑いを堪えて声を震わせながら涼太が言う。 隣の俊也、....きょとん、としちゃってるし.... 「....涼太のバカ!そういうんじゃない、けど....多分」 豊の肩が震えてる...く、く、て笑い堪えてる....。 「多分、て....」 「....どうだった?涼太」 父親からの虐待やレイプだとかを心配して、そう聞いたつもりだったんだけど...涼太、口開けて、は?て顔してる。 「....感想、言わなきゃなの?」 「あ、ううん、そ、そうじゃ....」 あ、でも...そうも捉えられる、か、確かに...。 「まあ、塗り替えられて良かったんじゃん?涼太」 俊也が笑顔でそう言うと、 「ま、まあ....」 「お前らも夕飯食べ終わったら行けば?ホテル」 ....豊、いきなりなにを。あっけらかんと。 俊也をチラ、と見上げたら、また目が合った。 じ、と俺の瞳見つめてるだけ...。 「....行く?あとで」 ....う、うわ...か、顔が熱い。 2人の前で....俊也。 「....意味、わかってる....?」 「まあ、....大体?」 さっきの涼太みたいに軽く握った拳で口元を抑えた。 ....実は一応、抑制剤も、...飲んできたし、持ってきてたり、する、んだけど....。 「まあ、16だし?いいんじゃね?優しくこう愛撫してもらってさ、キスもたくさんしてさ」 ....あ、涼太、照れくさそうにまたそっぽ向いた、けど、....拗ねたみたいに口尖らせてるだけだ。 ....愛されてる、て感じのセックス...どんななんだろう....。 また、チラ、と俊也を盗み見みる。 「そうだな、俺もそろそろいいかな、て思ってたしな」 そ、そうなんだ....口元を押えたまま、豊に話す俊也の横顔を眺めた。 無表情とは違うけど、冷静な俊也が、 「本屋行って夕飯にしようか?なに食べたい?樹」 優しい笑顔で尋ねられた、けど.... 俺、てば。 夕飯の後は....俺が俊也に...食べられる感じなの、かな、なんて...また小っ恥ずかしいこと考えてた....。 「どうした?嫌?」 思わず俯いてしまい、俊也に小首傾げて尋ねられた。 「う、ううん...な、なに食べよっか....」 視点が合わせられず、精一杯の返事に涼太も豊も見透かしたかのように笑ってた。 ああ....照れくさい、な。 少し...違うな...凄く。 俺も照れくささ隠すように口元に手を添えたまま、はにかんだ。

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