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帰って本を読み始めた僕は、あることに気づいた。本の真ん中のページくらいに紙が挟まっている。
もしかして成瀬さんがしおりとして使っていた紙なのかな、なんて思って紙を持つ。それは2つ折りになっていたからなんとなく開いてみた。
「……?」
そこには11桁の数字と英数字、成瀬優斗という名前が書かれていた。下の方には"良かったら連絡して"と書いてある。
数秒して、気づく。
「!!!!」
これ、電話番号とメールアドレスだ!!!僕はがたんと音を立てて椅子から立ち上がり、わー!とその場を駆け回った。
でもその音にびっくりしたのかお父さんがひょっこり僕の部屋のドアを開ける。
「どうしたアゲハ?なんかあったか?」
はっとしてぶんぶんと首を振って答える。カバンから紙とペンを取り出すと"なんでもないよ、うるさくしてごめんなさい"と書いた。
お父さんはそうか、ならいいんだ、言って素直に引き下がってくれた。
僕はその事で落ち着くことができ、ふぅ、と椅子に座り直した。
まさか、まさかほんとうにこれ電話番号とメールアドレスなの?と、僕はまだ信じられない気持ちでその紙を凝視してしまう。
でもなんで僕に…?なにか伝えたいことでもあったのかな。そう思って、携帯に電話番号(かけることは無いけど)とメールアドレスを登録した。
そこから僕がメールを成瀬さんに送るのに2時間はかかった。だって、緊張するんだもん。
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