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普段からあまり恋愛ものを読まないが、成瀬さんがおすすめするなら読んでみようという気になる。不思議だ。
ぺらり、と1ページ読んでみる。意外と面白く、2ページ目、3ページ目と読んだところですぐ側に成瀬さんがいることを思い出しはっと本を閉じた。
『ありがとうございます!読んでみます!』
「気に入った?良かった。君とは本の相性が良さそうだ」
そう言って成瀬さんは―僕の頭をサラリと撫でてその場を去っていった。
呆然する僕。
そして次の瞬間顔が真っ赤になっていた。
い、いいいい、いま、成瀬さんに撫でられた?!なんで?!いや、多分自分より小さい僕だから…で、でも、そんな好きな人に頭撫でられるなんて…!
僕は悶絶してばたばたと手を動かした。そしてここが図書館であることにハッとしてすぐに抑える。
深呼吸し、心をおちつける。
大丈夫、多分僕が見た目より幼いから頭撫でたんだ。そう思おう。
僕は17になるのに見た目は13,14くらいに見えるんだ。それは僕のコンプレックスでもある。
だから彼はきっと頭を撫でてくれたんだ。少し悲しいけど、そう思うしかない。じゃないと…また暴れちゃう。
僕は再度深呼吸をすると、ファンタジーの本を1冊、成瀬さんおすすめの本を1冊持ってカウンターに向かった。
成瀬さんはいつもの様にそこにいて、僕が近づいたらニコッと笑って貸し出し処理をしてくれる。
「じゃあ、またね」
帰る僕に向かって成瀬さんが手を振ってくれた。
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