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第12話
「せんせい、また、また、僕の演技を見てくださいね。それで上手に出来たら……その時は僕にご褒美をいっぱいください……」
それから、彼は毎週のように私の元へ通うようになった。
通う度に彼の妖艶さは増していき、演技にもそれは現れて、仕事が増え収入が増えたと彼は私に嬉しそうに語ってくれた。
「せんせいのお陰です、ありがとうございます」
「……良かったです、貴方のお役に立てて……」
そう言葉を返したけれど、いつしか私は恐れるようになっていた。
この関係に終わりが来る日を。
彼の身体を味わえなくなる日が来る事を。
「また来週来ますね、せんせい」
そう言って戸を閉める彼の笑顔を、私はまっすぐ見られなくなっていた。
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