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第1話
「類はどんな下着を好んで穿くんだ?」
「司くん、頭おかしいの?」
何の脈絡も無く飛び出した司からの質問にワンダーランズ×ショウタイムの舞台上は凍り付いた。
「…………えっ、声に出てたか!?」
ハッとした司は現実に引き戻されて狼狽える。
「つつつ司くんは疲れてるみたいだねっ!」
慌ててえむがフォローを入れるも、一度口から放ってしまった言葉は無かった事には出来ない。凍り付いたままの寧々を余所に類は完全無視を決め込み、台本を片手に舞台上での立ち位置や設置を確認する為司に背を向けて歩き出した。
「違う、違うんだ類! 待てっ、聞いてくれっ!」
類にそっぽを向かれた司は慌てて誤解を解こうと類を追う。類の元へと直進する司だったが類は司の手が届く直前で方向を変え、司は敢えなく舞台上に顔面から転倒する。
「……真面目にやって? 司くん。何ふざけているのかな? 舞台上でふざけたら思わぬ事故に繋がることだってあるんだよ……?」
類の冷ややかな視線が司の頭上から注がれる。頭でも踏ん付けてみれば少しは真面に動くだろうかと、類は試しに片足を上げてみる。類の殺気を感じた司は顔を庇いつつ回転してその場からの危機を脱出する。
決めポーズで起き上がったものの、類には司がまだふざけているようにしか見えず、顎から蹴り上げてやろうかと一歩司へと歩みを進める。司が逃げた先はステージの端、これ以上後退は出来ない。いっそステージの下へ蹴り飛ばしてみれば頭が初期化されて正常に働くかもしれないと類は更に司へと近寄る。
「わ、わー! わー! たんま、たんまだ類!! 決して練習中にお前を見て不埒なことを考えてた訳じゃない! 信じてくれ!!」
「……じゃあ何を考えていたって言うの? 練習中に」
「類くん、類くん、落ち着いてっ……!」
えむの言葉が類に届いていたかは定かではないが、類の片足がゆらりと持ち上げられ、司は両手で類の靴を掴んで止める。
「おっ、お前の誕生日に何を贈ったら喜ぶだろうとずっと考えていてっ、最終的には下着を贈ろうと思い付いたのだが、俺は類が喜ぶ下着を贈りたい! そしてサプライズで下着を贈って類の喜ぶ顔が見たかったっ! だから類が普段どんな下着を好んでいるのか気になってたんだ!! 決して不埒な意味ではない!!」
「……言っちゃったらサプライズの意味が無いんじゃ」
ようやくフリーズが解けた寧々は再び凍り付きそうだった。
「だから、ずっとそれが気になっていて……」
司は両手で類の靴を掴んだ類を見上げて視線を送る。類の顔が逆光になっていて正確には確認が出来なかった。ちらりと無意識に目線を落とすと、掴んだ足の先には類の下半身。
「どこ見てんの」
類はそのまま司をステージ下の植え込みへと蹴り飛ばした。
「類くん優しい」
えむは思わずそう呟いた。
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