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第2話
「……類。なあ、機嫌直してくれ」
「……明日はもうふざけないで」
舞台上で思わぬ巻き込み事故により大恥をかかされた類は、制服に着替えた後も司に背中を向け丸くなっていじけていた。
「ふざけているつもりは無かったんだ。類の事で頭がいっぱいになっていた……」
背後から司は類を抱き締める。ふてくされていた類の表情は多少和らぐも、真横に覗く司の顔に唇を尖らせて抗議する。
「僕の下着の事、でしょ?」
「それで拗ねてたのか?」
可愛い奴だと、膨らむ頬を司は指先でつんつんと突つく。
「怒ってたのは司くんが練習中に余計なことを考えていたから」
からかわないで、と類は司の手を叩き落とす。
「類のことは俺にとって余計なことじゃないぞ?」
「今そういう話はしていないでしょ……!?」
埒があかないと感じた類は司の腕の中で振り返り、両腕で司の身体を突き飛ばす。
驚いて床に背中を打つ司。その姿がひっくり返った蛙のように見えた類は、今日の鬱憤を晴らすべく司の開いた両足を丁寧に下ろさせた後、司の腰の上に跨る。
「……ねえ、司くん?」
「る、類?」
「そんなに僕の下着、見たいの?」
少し寂しそうに、妖艶に、類は見下ろしたまま司の胸元に手を滑らせる。
「出来れば中身も見たいが」
「それは十八歳になってからって約束した」
即答する司に即答で返す類。胸元を滑る類の手を捉えると司は指を交互に絡ませて握り込む。
「……思春期にこの生殺しは酷だぞ類」
司は類の爪先に音を立てて口付ける。
「……我慢出来なくて、他の子とヤっちゃう……?」
類は繋いだ手を自分の方へと引き寄せて、司の指に軽く歯を立てる。
「不安ならば何度でも言ってやる。俺は類以外に興味はない」
「〜〜ッ!」
真正面から真摯な眼を向けられ、類はそれ以上何も言えなくなってしまう。類が耳まで赤く染めている事に気付いていたのは司だけだった。
類は両腕で司の腕を抱え込み、恥ずかしさを抑えながらちらりと司へと視線を送り小さく口を開く。
「……司くんの目で見て、確認して」
「ああ、喜んで」
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