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男児服と書いてショタ服と読む

【夏木Side】 そう言や奏太(かなた)の幼少時代、可愛かったよなぁ。 当時はスマホじゃなかったし、家出る時持ってこなかったから子供の頃の写真一枚無いけど。 今度行った時、数枚貰ってくるか。 スキャナで取り込んでスマホの待ち受けに、……いやマズイマズイ、見られたら100%リュートさんにキレられる。 リュートさんが奏太にヤキモチを焼くってことは重々承知なんだけど、それでも奏太が可愛いってことは否定できない。 頭ん中だけなら許されるか? と言う訳で俺は目を閉じて、10年前の記憶の旅へ出る。 幼稚園の制服の奏太。リボンのついた帽子と半ズボンが可愛い。 白のセーラーカラー。半ズボンと紺のハイソがヤバイ。 お遊戯会の白い聖歌隊みたいな服、あれ可愛かったなぁ。俺の奏太が一番可愛かった! (幼稚園のお遊戯会まで押し掛けていた模様) ちょいデカめのバスケのユニフォーム風タンクトップとか、襟ぐり脇の開きが広くて、薄い色の乳首がチラ見……って、奏太は弟だっつーの!俺にはリュートさんがいんだから、弟の乳首云々でムラムラこねーっつーの。しかも記憶の幼児だし! 俺はショタコンじゃなーっい!! ……あの服、今の広川が着たらマズいよなぁ。 25歳の色気を持つ6才児? 社長瞬殺!! 見たいか見たくないかと訊かれれば、俺は間違いなく見たいを選ぶ! …い、いや…、社長に見せてあげたいって意味でな!! …………奏太の服、まだ実家にあんじゃないのか? バッと目を開き起き上がり、スマホを手に取る。 今、8時か。なら─── その場で実家に電話する。 受話器を取ったのは母さんだ。 果たしてこの現代ファンタジーな展開を、信じてもらえるか…? とにかく、奏太の子供の頃の服が残っているかを訊ね。 広川の幼児化を伝え。 広川を連れて服を取りに行くと言えば、 「車で来るの?」 やっぱり母さんは、すんなりと俺の言葉を受け止めてくれた。 「ああ。社長…香島さんに乗っけてってもらおうと思う」 「チャイルドシートはどうするの?」 「あ!忘れてた」 そっか。幼児が車に乗るにはそう言う物が必要なんだっけ。 子供なんて一生育てる予定無いからそんなこと、思いつきもしなかった。 それから母さんは少し待てと言うと暫く。 父さんが明日の朝一で家の9人乗りのワゴンで迎えに来るよう手配してくれた。 「リュートも連れてきなさいよ。お店あるなら、お昼食べたら帰って構わないから」 父さんもきっと俺じゃなく、リュートさん会いたさに朝早くから行動を起こしてくれるんだろう。 そう言えば父さんは、社長や広川たちとは初だっけ。 通話を切って、社長のLimeにメッセを送る。 ほら、広川幼児化してるけど、一応気を遣って通話じゃなく、な。 ローズの支払いのお礼と、替えの服に充てがあるのだと、用件だけ。 返事が来たのは9時頃。 広川は寝てしまったそうで、向こうからは社長の声以外聞こえてこなかった。 奏太の服のこと、父さんの迎えのことを話せば、社長は明日新しい服を買いに行く予定だったようで、感謝はされた…んだけど。 『そうか。奏太くんのおさがりなら可愛いんだろうな…』 ……大丈夫か?このショタコン。 「社長、広川に奏太の服着せて、やらしい事しないで下さいよ!?」 『いや、やらしいのは俺じゃなくてな』 「どっちでもダメっすから!じゃあ明日、よろしくお願いします」 『こちらこそよろしく。ありがとうな、夏木』 うきうきと弾んだ声がちょっと怖い。 可愛い奏太の服が、白濁の欲望に汚されてしまうんじゃないかと思うと、ちょっとだけ後悔。 ………けど、奏太の服着た広川、可愛いんだろうな…。 思わず綻びかけた口元を掌で覆って隠す。 別にリュートさんが見てるって訳じゃないけど。 なんとなくな、罪悪感。

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