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魔女狩リ、返討チ 6

抗おうと食いしばっていた歯が離れ、自然と口が開く。 「俺を“餌”にしろ、月人」 命令され、腕が勝手に彼の身体を抱きしめ首筋に唇が向かっていた。 甘い香りに包まれ感じたこともない飢えに襲われる。 頭が真っ白になり、気付けば彼の肌に歯を立てていた。 「.....ーーーっ、う」 犬歯が肉を割き、濃厚な液体が喉を滑っていく。 その素晴らしい味に、夢中になって貪り食らった。 彼の髪を掻き上げ、細い腰を抱き締め、 絶頂にも似た恍惚感に襲われながら、 皇の、魔女の血を飲み込んでいった。 「...っは、ぁ..」 やがて空腹感が薄れ、頭が正気を取り戻した時にはぐったりと皇はこちらに体重を預けるようになっていた。 口を離し、月人はまず、後悔をした。 それとほぼ同時にこの皇という魔女の大罪に悲しみを覚える。 彼は自分より下等な生物の餌となることで魔界という聖域から追放されたのだ。 「.........いいのかよそれで」 呆然と呟き乱してしまった彼の髪を撫で付けようとしたが、指は勝手に彼の髪をさらに乱していく。 身体を離したいのに、腰を抱き締め身体は密着する。 「...っ、本当、面白いやつだなぁ月人」 皇は楽しそうな声を出しゆっくりと顔を上げた。 乱れた呼吸を繰り返しながらやや頬を紅潮させ、瞳は潤んでいる。 そのゾッとする程の色気に月人は目が離せなかった。 「俺のために泣くなんて。虫ケラのくせに」 変わらぬ呼び方で皇は貶し、月人の頬に指を這わせた。 何故だか、頬は濡れていた。

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