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繋ぎ止める、 1

燃え盛る火の中にいても、ツツジは不思議と熱く感じなかった。 ツツジが目を開けると、自分の周りに穏やかな風が湧き起こっているのを感じる。 「え…?」 火は確かに燃えているのに、自分の周りに薄い膜のようなものがあって その向こうで火が揺らめている。 「なん、で…?」 「本当に自分だけ楽になれるとでも?」 自分のすぐ後ろで聞こえてくるその声に、ツツジは目を見張った。 「言ったろ?”ちゃんと向き合え”って」 その声は、耳元でくすくすと笑ってすぐにその気配がなくなった。 ぱち、と音がしてツツジの体を鉄の棒に括り付けていた紐が全て粉々に弾けとび 次の瞬間風の膜が消えていってしまった。 突然自由になった身体は炎に向かって倒れ込む。 「ツツジ!」 伸びてきた黒い何かがツツジの体を抱え上げ、ツツジの身体は炎に巻かれる前に高い視点へ移動した。 何が起こったかわからず、ツツジは呆然と上を見上げた。 「お前は本当にバカだ!自分から火炙りに出かける奴があるか!?」 「おじさ…」 鋭い眼光、黒い髪と髭。傷跡達。 その愛しい顔にツツジは思わず目を潤ませた。 「全くこの私をヤり捨てとはいい度胸だ…! こんなに怪我も増やして…!」 ゼアレスは悪態をつきながら、ツツジを引き上げ馬の上に座らせた。 その彼にそっくりな黒い毛並みにツツジは息を吐いた。 「パースちゃん…」 ツツジはフラフラとその馬の首に触れる。

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