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風と花。

顔に何かが触れて、二人は同時に唇を離し顔を上げた。 真顔の蜂蜜が立っていて、彼の手からパラパラと青い何かが2人の間に降り注いでいた。 「は、蜂蜜…?」 「わ…これ…花?」 蜂蜜を見上げるゼアレスと、 自分の服に引っかかっていた青い花を拾い上げるツツジ。 蜂蜜は手の中の花達をポンと投げるように2人の頭上に放った。 驚いて何も言えない二人に、 美しい精霊は悪戯をし終えたようにクスクスと笑いながら走っていってしまった。 二人は顔を見合わせ、ゼアレスは小さくため息を零した。 「神に祝福されたな」 「あはは。そうだといいなぁ」 散らばっていた青い花が風で巻き上げられ 青い花吹雪は、風に乗って高く高く舞い上がり 山々へと運ばれていった。 Fin

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