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お願いだから馬鹿にして **
ぬるりとしたものが口の中に入ってくる。ぬめりをまとったそれは仄かに甘く、熱い。
頬を撫でる体温が気持ちいい。小さく濡れた音を響かせ、ぷちんと泡が潰れるように弾ける。舌の上を何度も滑るような甘やかな刺激が、天嘉の神経を伝って全身に響いていく。
はむりと下唇を甘噛みされる。厚みのある唇で挟まれ、吸われ、舌を舌で押されながら甘い液体を飲まされる。
んく、と小さな喉仏が上下して、褒めるように唇を啄まれた。
「……、」
涙でぼやけた視界が、見慣れたシルエットを捉えた。布団に伏していた天嘉の体を仰向けにし、何度も己の唾液を与えてくるのは蘇芳だった。
「天嘉、」
「…す、ぉ…」
整った顔に、心配気な色を滲ませる。つい、声が震えてしまった。
ようやく視界が定かになったのに、目の奥が急に熱くなって、また蘇芳の姿を揺らめかす。細い腕がゆるりと持ち上がり、縋るようにして蘇芳の首の後ろに回るのを、覆い被さることで距離を縮めて答える。
きつく抱きしめた。肩口に天嘉の熱い呼気があたる。濡れた頬を首筋に押し付け、深呼吸をしながらポロポロと涙を零した。
ああ、弱っている。
蘇芳のややこは、どうやら力があるらしい。天嘉へと与えた妖力をすべからく成長にあてがっているせいで、この惟一の雌が弱っているのだ。
器を満たしてから孕ませればよかった。これは完全に蘇芳の落ち度である。何度も宥めるように背を撫で、ゆっくりと起き上がる。ぐすぐすと泣いている天嘉は、妖力を吸われすぎて意識を失ったことがよほど怖かったらしい。
「天嘉、天嘉。すまぬな、怖い思いをさせた。お前は何も悪くない、俺のややこは力が強いらしい。お前の栄養に当てる分まで食らいついたからお前が倒れた。これは満たす前に孕ませてしまった俺の落ち度だ。」
「すお、う…ちげ…ちげえよ…ごめ、ん、ごめんなさ…」
「なんだ、どうして泣く。また俺はお前を悩ませているのか。」
「う、ぅ…や、やだっ…あ、ぁー‥」
ぎゅう、と抱きつきながら、ついには声を上げて泣き始めた。蘇芳はその背を撫でながら、不安定になっている己の雌を慰めるかのように優しく抱きしめる。
ぐすぐすと泣きながら、蘇芳の頬に手を添える。天嘉の唇が蘇芳のそれと重なって、漸くいつもの天嘉とは違うことに気がついた。
「てん、」
ふに、と押し付けるような下手くそな口付けだ。もぞりと天嘉が身動ぎ、蘇芳は訳がわからないまま天嘉によって組み敷かれた。
ぺしょぺしょと唇を舐められながら、薄く眼を開いた天嘉が顔をあからめながら蘇芳に口付ける。
柔らかな尻が蘇芳の腰に乗り上げると、そこで性器を刺激するようにして尻を落ち着けた。これは、何というとんでもない据え膳か。
天嘉の唾液で口の周りをべたべたにさせたまま、蘇芳はゆっくりと着物の裾から手を侵入させ、天嘉の柔い太腿をなであげる。
「どうした天嘉。お前が俺を求めるのは喜ばしいが、青藍からも言われたろう。無理をするなと。」
「やだ、だいてよ…も、あたまぐちゃぐちゃにして…なんも考えらんねーようにして…」
泣きながら、拙くそんなことを言われてしまえば蘇芳だって断る理由もない。とんでも無く可愛らしい誘い文句は蘇芳の雄の部分にダイレクトに響くのだ。ゆるく腰を突き上げてやれば、硬く猛り勃起した蘇芳のそこを布越しに感じ、ホッとしたような顔を見せる。なんだその反応は。
獣の部分が、眼の前の獲物を逃してなるものかと唸り声をあげる。
天嘉の手が蘇芳の胸元を晒し、ぺたりと頬をくっつける。大きな手で頭を撫でてやれば、睫毛を震わせ喜ぶ。
そのたおやかな手が着物の合わせ目から侵入し、下穿きからそっと大きな性器をとりだした。
幼児の腕ほどの大きなそれに指を絡めると、天嘉は体をずらして性器に頬擦りをした。
「体調は、もういいのか…」
「っ、ん…これ、ほしくて…あたま、おかしくなりそ…」
「その言葉、忘れるなよ…、」
天嘉の空の器が、蘇芳の妖力を求めている。渇く体をほんの少量の唾液が呼び水となって、天嘉の雌を呼び覚ます。
今は何も考えたくない、どろどろにして、頭を馬鹿にしてくんなきゃ嫌だった。
天嘉の赤い舌が太い幹に這わされる。浮かぶ血管を愛でるように舐めなぞると、傘の張った部分も丁寧に口に含む。奉仕の仕方は蘇芳によって仕込まれた。頬張りきれない部分は唾液で濡らし、にゅくにゅくと両手を使って刺激する。
「ん、んぅ、ぶ…っ…」
端ない音と、育てられた腔内の性感帯に刺激されて、天嘉の胸の尖りはぴくりと反応し、よつん這いの天嘉の着物の合わせ目からは布を押し上げるようにして主張する性器が見て取れた。
ちゅ、ぢゅぷ。唾液を絡め、啜りながら、にゅちりと手の平で扱く。生理的なもので滲んだ涙が睫を束にし、苦しそうな呼吸が天嘉の顔を額まで赤らめる。
健気な奉仕の様子は蘇芳にしっかりと見つめられ、長い髪をかきあげ晒された整った顔を、耐えるように歪ませる。
気持ちがいい。ぎゅるりと血流が流れ、性器をふくらませる。その度に小さくえずく天嘉が可愛そうで可愛い。
「お前、っ…また雌を教え込まれたいのか…。あの三日間が、忘れられぬと?」
「ふ、ぅぁ…、っ…」
赤らんで、涙で瞳を溶かした天嘉の腰が震える。蘇芳のかさついた手の平が胸元をなで上げた瞬間に遂情したのだ。
蘇芳の獰猛な雄の瞳が天嘉を映す。その視線が天嘉を安心させてしまった。
内腿をなぞるかのように水流を辿らせ、布団にじわじわとシミを広げる。ピタリとした下着を熱い液体で濡らした天嘉は、まるで犬が喜ぶかのようにして粗相を広げる。
気持ちいい、気持ちいい。これからこの雄に犯されるのだ、そして全部馬鹿みたいな快楽に塗り替わって、何で悩んでいたのかもきっと忘れてしまうのだ。
しょろろと漏らしていることすら気づかないまま、じゅぽ、と奥深くまで咥え込む天嘉の頭を褒めるかのように蘇芳が撫でる。
まったくどこまで俺を喜ばせるのだ、この雌は。
蘇芳はふるりと身を震わし、ゆっくりと起き上がる。小さな天嘉の頭をがしりと掴むと、腰を進ませながらゆっくりと喉の奥まで咥え込ませる。
天嘉の目が見開かれ、腰に押されるようにしてぺたんと布団に尻をつくと、びくびくと背筋を痙攣させながらぎゅぽりと妙な音を喉から出して、鼻先を下生えに埋めた。
嘔吐感と快感がないまぜになって、まるで麻薬のような酩酊が天嘉の思考を奪う。じょわ、と残りの残滓も漏らしてしまうと、その暖かな水溜りで尻を濡らしながら、飲み込むようにして吐き出された精液を嚥下する。
「っ、お"ぇ、…ぐ、っ…んぶ、っ…」
「愛らしい、鼻から精液が漏れておるぞ天嘉。しっかり飲み込め、お前のためだ。」
「んん、ぶ…っ…んく、っ…ぇ、っ…かふ、っ…」
ふるりと身を震わした蘇芳が、ゆっくりと性器を引き抜く。ぬちゃりとした唾液と精液が混ざりあった分泌液が性器と天嘉の舌を繋げると、げほごほと咽る天嘉の顎を掴んで口を開けさせた。
「これで終わりだとは教えていないな、出来た嫁はどうするのだ。」
「ん、んくっ…は、ぁ…」
はあはあと荒い呼吸を繰り返しながら、涙目で蘇芳を見上げる。自分は今、この雄のものなのだ。雌なのだとわからせるような、人を従わせることに慣れた声が、天嘉の背筋を痺れさせる。痺れる唇と震える舌が、犬のように座り込んだまま汚れた性器を舐めて綺麗にする。
幹に吸い付き、じゅるりと音を立てて舐め取るのは、蘇芳が教えた。垂れたそれを袋ごと丁寧に舐め上げながら奉仕を終えると、犬を褒めるかのように頭を撫でられる。
「ああ、天嘉。できた嫁だ、お前は俺の唯一だ。愛おしい、食ってやりたいよ。骨まで残さずにな。」
「蘇芳、っ…が、んばった…から、はや、く…」
「ああ、お前を雌にしてやる。愛おしい、愛おしいなあ天嘉。本当に、俺の嫁は健気で困る。」
鼻先を擦り合わせ、甘い睦言で天嘉を褒める。自己肯定感を高めてくれる蘇芳とのセックスに、天嘉の体は満たされる。この雄は俺のものなのだ。誰にも渡すものかという執着と、半端者としての不安。ときおり顔を出すそれが嫌で、とにかく快楽に溺れたかった。
「抱いて、抱いて蘇芳。きもちよくして、雌にして…はやく、」
何も考えたくない、怖いのは嫌だ、ここに居ていいと証明してほしい。天嘉の手が誘導する様にして蘇芳の手をそこに添える。ゴクリと唾液を飲み込む音がして、小さく吐息を漏らす。蘇芳によって割り開かれた尻は、ゆっくりとその指をずぷりと飲み込んでいく。
この指で、蟠ってる不安や恐れも掻き出してほしかった。何度も口を押し付けるように口付けを繰り返しながら、插入された指に擦り付けるかのようにして腰を揺らめかせる。
好きだ、守ってほしい、怖いことから全部遠ざけて、抱きしめて、甘やかしてほしい。
「す、ぉ…っ、あ、あ、あ、」
「とろけている…こんなところまで素直で…本当に、どうしてくれようか…」
「ひぅ、あ、っ…ンん、ふぁ、だぇ…、ぁ、あ…アッ!」
嗚咽を漏らし、首に縋り付き、声を震わしながら腰を揺らめかせる。健気でいやらしく乱れる天嘉の痴態に当てられながら、獣のように喉を鳴らして肩口に噛みつく。
びくんと痛みに身を震わし、足の間に挟んだ蘇芳の腕に精を撒き散らせば、もう焦らす方がいけないと理性を切った蘇芳によって、天嘉は荒々しく布団に組み敷かれた。
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