11 / 36
11:恥ずかしくて死ねる
だけど、こういう行為をするにしても、相手は当たり前に女だったし、自分ばかりが攻められる機会なんてほとんどなかった、から。
マッサージされた時点で、自分が刺激に過敏に反応してしまうことを気付けていたら。
こんなことにはならなかっただろうに。
「じゃあ、ここも初めてなんですか?」
「ぅ、あ……っ?」
背後にあった兄ちゃんの気配がなくなって、今までと違うところから声が聞こえてきた。
不審に思って後ろを振り向くと、むに、と尻を両手で掴まれて、孔の近くを親指で左右に開かれる。
「っうわ、ちょ……っや、ぁ……!」
初めて外気に触れた後孔。
寒くもないのに、他人にそんな場所を広げられ、見られているんだと思うだけで、そこは己の意思に反してひくひくと開閉する。
「綺麗な色ですね、もしかして手入れとかしてるんですか?」
「っしね! んなことするか……っ!」
この、変態……!
今まで一度も、他人の目に晒されたことのない場所をまじまじと見られ、カァ、と顔が熱くなるのが分かる。
「すごい、ぱくぱくしてる」
「っや、言うなよ……っあ、何、して……ッ」
嫌だ、恥ずかしい。消えたい。
見られることさえ初めてのそこに、ぬるついた温かい感触が走る。
それが人の舌だということに、気付くのにそう時間はかからなかった。
「っあ、そん、な……やぁ……っ!」
愕然とする。
いくら仕事場でシャワー浴びてきたからって、そんなところ、身体のなかで一番汚ない場所なのに。
とてつもない羞恥に、生理的な涙が滲む。
「やめ……っそこ、きたな、からぁ……!」
ぴちゃぴちゃと聞きたくもない水音が、行為の生々しさを助長する。
皺をひとつひとつ伸ばすように舌先で舐められて、じゅるじゅると浅ましい音を立てながら後孔を吸われる。
ぞくぞくと背筋に電流が走って、それが気持ちいいと認識出来てしまっている自分を疑った。
後ろめたさと羞恥心に、気が狂いそうだった。
「っひ、ぃやぁ……! あ、あっ、やだ……ッやだぁ、」
「すごいですね……、腰揺らして、そんなに気持ちいいんですか」
快楽に溺れるまま、俺は無意識に腰を揺らしていたらしく、指摘されて初めて気付いた。
だけど、ゆらゆら揺れる腰つきと、尻たぶごとひくひく収縮する動きは止まらない。
せめて尻の筋肉がぴくぴく痙攣するのを止めたいのに、過剰に反応してしまう身体は俺にはどうすることも出来なくて。
「いやらしいですね」
笑うような声に泣きたくなる。
もう、やだ。
穴に吐息が当たるだけで腰が跳ねて、俺は枕をぎゅうっと握りしめた。
恥ずかしくて死ねる。
「も、汚ない……っからぁ、やめ、て…っん、ぅ、あ」
ぶるぶる震えながら懇願する俺の声は、届かない。
「汚なくないですよ、石鹸の味がしますし」
「ぃ、やだぁ……っ!」
その台詞がもう、俺にとって拷問のようだった。
うねうねと蠢く舌が、きゅうっと締まった入り口を無理矢理こじ開けて、入ってくる。
硬くて細いものも一緒にナカへ侵入してきて、冷たくないそれは指なのだと理解する。
「っあ、ぁ……ッだめ、だめだ、ぁう……んっ」
「嘘つきですね。ここをこんなにしておいて」
ちゅぽ、と舌が抜かれる。
優しい印象を受ける声色は変わらないのに。
正反対な卑猥な言葉に、身体が更に熱くなる。
ともだちにシェアしよう!