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第28話※

照明を消した陣は再び颯太郎のそばに来ると、颯太郎の下着を脱がしにかかった。薄暗いから多少は大丈夫かなと思った颯太郎だけれど、やっぱり恥ずかしくて、足をくの字に折って横向きになろうとする。 「ダメだって颯太郎、布団に垂れる」 拭いてあげるから、と言われて何を、と聞くまでもなくまた顔が熱くなった。自分でやると言ったけれど何故か断られ、大人しくするけれど、これはこれで恥ずかし過ぎていたたまれない。 拭き終わった陣は何故かとても機嫌が良さそうだ、はいうつ伏せー、と颯太郎の足を動かしてうつ伏せに寝かせると、手にローションを付けていた。 「颯太郎、俺ちゃんと勉強したからな?」 暗いと感情も見えにくいので、陣が何を考えているのかはよく分からない。けれどその声は優しく甘く、それだけでも颯太郎の小さな火が着くのが分かる。 陣は颯太郎を四つん這いにさせ、その上に重なるように来ると、またうなじに口付けた。ビクッとした肩を宥めるように耳に息を吹き込まれ、颯太郎は上半身を伏せて口を両手で塞ぐ。 「……可愛い。身体も綺麗だよ……俺が想像したのよりずっと」 一体どんな想像をしていたのだろう? 陣の言葉に颯太郎はそう思うけれど、聞くのは(はばか)られた。 陣の手が動く。尻の狭間をそっと撫でられ、その優しい手つきに声を上げそうになった。さらに彼の手は周辺をなでながらゆっくりと奥に進み、颯太郎の秘めた場所に辿り着く。 「……颯太郎」 陣の指がそこを撫でる。ムズムズするような感覚に後ろがひくつくのが分かり、恥ずかしさで布団に顔をうずめた。思えばこんなに丁寧にされるのは初めてで、颯太郎は少し焦れったく感じてしまう。 「ん……っ」 陣がまたうなじを甘噛みした。熱い舌と時折触れる歯の感触に腰を震わせると、陣の指が入ってくる。 「あ……っ、ああ……」 颯太郎は陣の指をもっともっとと奥へ誘い込み、その状態に興奮し声を上げた。陣も颯太郎の乱れように、息が弾み始めている。そしてそれがまた、颯太郎を煽るのだ。 陣はそこを丹念に慣らし、指を増やしていく。 「……っ、んん!」 颯太郎は中のある場所に触れられて、大きく身体を震わせた。構わずそこを刺激し続ける陣に思わず手を伸ばし、止めようとするけれど、手が届かない上に力が入らない。陣を呼ぶと、彼は掠れた声で返事をした。 しかしそれ以上言葉を発することはできず、ガクガクと腰を震わせたまま首を横に振ることしかできない。 「じ、陣っ! 無理っ! だめ……っ!」 あまりの強烈な快感に、颯太郎はある瞬間に身体が痙攣しながら硬直した。刺激が脳天を突き、グッとシーツを握りしめる。 正臣にそこを刺激されたことはあったけれど、射精をしないオーガズムはそれほど経験がなかった。ガクンと四つん這いの体勢が崩れ、短く呻くと大丈夫? と陣が聞いてくる。 それでも後ろに指は入ったままで、抜いて、とお願いすると、気持ちいいの? と陣はそこを抜き差しする動きに変えた。それでもそこへの刺激は止めない陣に、颯太郎は涙が出て止まらなくなってしまう。 「陣っ、嫌だ……っ!」 そう言ったとたん、またガクガクと腰が震え全身に力が入る。今度は指を抜いてくれた陣は、そっと颯太郎を仰向けにした。 泣いているのを見られたくなくて両腕で顔を隠すと、彼はまたゴソゴソと何かをしていた。いよいよ入れられるのか、と颯太郎は想像して身体を震わせる。 「颯太郎ー、顔見せて?」 陣が颯太郎の腕を掴んで退けた。抵抗しなかった颯太郎は、素直に陣の顔を見る。 そこには微笑んでるけれど、息を弾ませた陣がいて、纏った鴇色と興奮の赤がこれ以上ないくらいに強く出ていた。薄暗い中でもこれだけ見えるということは、陣も限界なのだと知るとゾクゾクした。 その顔が近付いて優しいキスをされる。唇が触れ合う距離で、入れていい? と聞かれ、颯太郎は小さく頷いた。 「颯太郎がめちゃくちゃ可愛いから、そんなに持たないかも……」 苦笑して離れた陣は、颯太郎の足の間に座り、両膝を抱えて持ち上げる。顔が見える体位は恥ずかしいけれど、陣の綺麗な顔が快感で歪むのを見てみたいと思った。 陣がゆっくりと中へ入ってくる。その熱さと硬さに颯太郎はゾクゾクして背中を反らすと、根元まで入れた陣が上に重なってくる。 「うわ……すっごい……何これ……?」 陣は入れただけでとても気持ちが良いようで、腰がヒクヒクと動いていた。それでもまだ射精するまいと顔を顰めて耐えていて、そんな陣を見て颯太郎もイキそうになる。 「颯太郎……好き」 陣はそのまま後ろが馴染むまで待っているようだ。しかし限界が近いのは中に入った怒張が、ヒクヒクしていることで分かる。 颯太郎は重たい腕を動かし、陣の両頬を手のひらで包んだ。先日寝ている陣にしたように、絹のような髪を梳き、吸い付くような肌を撫で、柔らかい唇を親指でなぞる。 その唇が笑みの形になった。 「今度する時は……俺の身体も触って?」 「ん……」 陣は一つ颯太郎に口付けると、颯太郎は鼻に抜けたような声で返事をする。 「そろそろ動いて良いかな? キツかったら言えよ?」 そう言った陣は上半身を起こした。それが少し寂しくて、颯太郎は彼の肩を掴むと自分の方へと引き寄せる。 「なーに? 颯太郎」 嬉しそうに笑う陣は、颯太郎に大人しく従った。そしてゆっくりと動き出すと、粘膜が擦れ、先程陣が触れた箇所も擦れて颯太郎は声を上げそうになり唇を噛む。 「何? 痛い?」 颯太郎の表情を見た陣が動きを止める。乱れた息の合間に首を横に振って陣の頭を引き寄せ、耳に吹き込むように囁いた。 「気持ち、良い……」 「……っ」 ほとんど消えそうな程小さな声だったけれど、陣にはしっかり聞こえたようだ。ああもう、とイラついたように彼は言うと、遠慮なく奥を突いてきた。 「ああ……っ!」 今度は耐えられずに声を上げると、陣は首筋や鎖骨に吸い付き、上半身を起こす。颯太郎は陣のその表情、鎖骨、胸、うっすら割れた腹筋を見てしまい、一気に絶頂へと駆け上がってしまった。 「んんんん……っ!!」 枕がちぎれるほど引っ張ってそれに耐えると、後ろも締まったのか陣も苦しそうな顔をする。 「……ぅ、やば……、良すぎてすぐにイキそう……っ」 「陣……陣も、良いのか……?」 ボーッとする頭で颯太郎はそう聞くと、彼は音がする程強く打ち付けてきた。颯太郎は続く強い快感に悶え、のたうち回りそうな身体を必死に抑え、陣の情熱を必死に受け入れる。 「こんなの、覚えちゃったら……もう戻れないよな……っ」 そう言った陣は顔を顰めて短く声を上げた。大きく身体を震わせ、それと同時に中が熱くなる。それが陣が熱を放出したのだと分かると、颯太郎はまた腰を震わせ陣を締め付けた。 くたりと重なってきた陣を両腕で抱き締めると、彼の鼓動を感じることができた。すると何故か目頭が熱くなって、熱い涙が目尻から零れる。 ずっと、こんな風に愛し合えたらと思っていた願望が叶い、それが陣で、良かったと思う。同性愛者の自分には、夢のまた夢だと思っていたからだ。 陣は落ち着いたのか身体を起こそうとした。けれど颯太郎は腕に力を込め、離れないで、と言葉にせず態度で示す。 「……どうした? 颯太郎……」 陣は颯太郎の胸に顔をうずめたまま、聞いてきた。颯太郎は返事の代わりに鼻をすすると、陣は顔を上げ颯太郎の嗚咽を漏らす唇に口付ける。 「泣くほど良かった?」 陣が笑った。颯太郎もつられて笑うと、彼はそっと中から出ていく。それでも颯太郎にピタリとくっついたまま、離れないでいてくれるから、また嬉しくて泣いた。

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