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 朝目覚めると、いい匂いがしてきて食欲がそそられた。ぼんやりだった頭も一気に覚醒。あぁっ、昨日すっきり出来なくてモヤモヤして朝方まで起きてたから寝不足で頭いてぇ。それでもいい匂いは少しだけ幸せな気持ちにさせる。  俺が用意してるわけでないってことは、昨日泊まったみーちゃんが用意してるものと思われる。  みーちゃん……なんでだよぉ、同じ屋根の下に付き合ってる20代の恋人たちがいて、何もせずに眠るって一体どういうことなんだよ。あっ、疲れてたからか。連れて寝落ち。えぇ~、疲れてたにしろ、俺んちに初めて来たんだからエッチな展開期待して起きててくれたっていいじゃんよ~。  起きてもやっぱりまた悶々とし始め、同じ思考の繰り返しで埒が明かない。  ごちゃごちゃ考えてないで話し合えってぇ事だな。気合いをいれて自室のドアを開ける。 「みーちゃんおはよ~」 「あっ、たくちゃん。おはよう。ごめんね勝手にキッチンお借りしたよ。あんまり冷蔵庫に材料見当たらなかったから、卵焼いてコールスローサラダと豆腐のお味噌汁だけど大丈夫かな?」 「十分!俺そんな豪華に朝ごはん食べんの実家に住んでた時以来だよ」 「そうなんだ、なら良かった。顔洗ってきて食べよう」  朝ごはんが用意してあって、それを用意してくれたのが恋人って、なんて穏やかな朝だろう。顔を洗う水すら清々しく感じる…って、ちがーーーう!俺は悶々としてて眠れなかったんだ!  どういうつもりでうちに着いてきてくれたんだが聞かなくては!まさか、付き合ってって言い出したのみーちゃんなんだから、俺に欲情しないわけないだろうし、家に二人きりって分かって来たんだから、そういう展開になるって予想できたはずだ!  美味しそうな朝ごはんを作ってくれたことは感謝しつつ、訊いてみよう。  戻っていくと、テーブルにすっかり朝ごはんを用意してくれたみーちゃんが座って待ってた。 「たくちゃん、座って座って。一緒にいただきますしよ」 浮かれてみえるのは可愛いけど、こちとら寝不足なんだ。 「はい、いただきます」  みーちゃんのペースに流され、椅子に座り一緒にいただきますをした。まぁ、悪くない。でも訊かなきゃ俺はスッキリしないからな。この状態のまま仕事するの嫌だかんな。  豆腐の味噌汁を一口飲んで、口の中を潤し、喋りながら食べることにした。行儀悪いかもだけど、朝は時間との戦いだからな。  

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