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 はい、所変わって小児病棟。  お昼も食べて、自由に動ける子達は集まって賑やかに過ごせる時間。辛い入院もこの自由な時間でストレス発散。 「あ~!匠先生と翠先生きたぁ!」  みんな2人の先生が大好き。この2人が回診で来てくれる時間も楽しみの1つなのです。  病棟回診、ほんとは各病室で行うけれど、そこまで重病じゃない子達はここで集まってでもいいよと、2人の計らいでまとめて順番に診察です。 「どう?台風近づいてきてるけど、呼吸苦しくない?ちょっと音だけ聞いとくね」 「うん、あんまり苦しくないよ」  聴診器をもつ匠先生。みんな集まってる場所だから、聴診器で聞く時も、服はあげないようにする気遣い屋さん。  一方、翠先生はというと、 「みどり!あしょぼう!」 「みーちゃん先生こっち!」 「だめ~みどり先生はこっちで遊ぶ~」  長身の先生が肩車やたかいたかいをしてあげた後から、先生は遊んでくれる!と覚えた子供たちは翠先生が来ると四方八方から引っ張りあい。 「診察終わってから遊ぶから、早く終わらせたいならみんな並ぼうね」  ピタっと止まり、サッと並ぶ子供たち。  早く翠先生と遊びたいんです。翠先生も匠先生も忙しいから、ここにいられる時間は限られてるって分かってるから。  最後の1人まで問題なく終わり。 「ああ~~!!みんな匠先生に触りすぎだ!触りすぎ!出来る限り、触らず診てもらおうな?分かった子から肩車一往復だぞー」  長身の翠先生の肩車で、視界の高くなった子達は大はしゃぎ。   一方の匠先生の方には、ちょっとおマセな女の子達が集まり女子トーク。 「匠先生、翠先生うっとうしいな~って思う時ないの?」 「うん?ないよ。なんで?」 「えー、だって翠先生、ほんとイケメンだけどさ、匠先生匠先生ってしつこいし、匠先生のことになると子供にも注意したりうるさいじゃない」 「う~ん、俺はそんな嫌じゃないし、楽しいよ」  ふ~ん、そんなもんなんだ、小さなレディー達には理解不能。でも優しくて美人な匠先生とのお喋りは楽しいもの。 「先生方、そろそろ…」  病棟の看護師さんから声がかかり、この場所での診察が終わるのはいつもの事。  先生達は次は病室にいる子達の診察です。

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